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キラキラ

第25章 Count 10



この設定下でも、恋人同士なんだな、この二人は。


リアルなあいつらを思い出した。

つきあいが長いからか、あ、うんの呼吸で、全て分かりあえてるところがあり、時々うらやましくもある二人。

そっけない、にのと、そんな彼をまるごと愛してる相葉ちゃんには、その仲の良さにブレがないんだよな。
照れ屋の翔ちゃんと松潤と違って、安心してみてられるカップルだった。

高校生設定でも、それはかわらないのだろうか。


………何しゃべってんだろ。


ひそひそ交わされる会話は、小さくて聞こえない。
気になってきて、そおっと薄目をあけたら、


「………あ。おはよ。智」


こちらを向いていたにのと、バッチリ目があった。
少し離れた位置にいる相葉ちゃんも、

「おっはよー。昼休みだよ」

と声をかけてきた。

「………おう。……はよ」
 
俺は、あたかも今起きました、というような、我ながら下手くそな演技をしてみせた。

にのは、何事もなかったかのように、ニコリと笑ってる。
だけど、耳だけが異常に赤い。
そんなところに、先程のやり取りを思い出させられる。

元気印な相葉ちゃんも、にのを前にする囁き声は、ドキリとするほどの低音ボイスだったな。


くそー………いーなぁ、
俺も早く松兄に会いたいなぁ………。


そんな風に思いながら、ぼんやりとソファに座り込んでいた。


「おーちゃん?お昼食べに行こ?」

そんな俺に、相葉ちゃんが、優しく笑って外を指差した。

学食って………やつかな?
確かにちょっと腹が減ったかも。
あー………でも。

「俺………金もってねぇから………」

「ふふ。まだ記憶ソーシツ? お金なんかいらないんだよ。まとめて引き落としなんだから」

あ、そう。

そこへ、にのが、一枚の紙をこちらに寄越してきた。

「……智、さっき剣道部の部長から、追加予算の申請書がきてた。あとでサインちょうだいね?」

「サイン……俺の…?」

きょとんとしてる俺の肩を、苦笑した相葉ちゃんがガシッとつかんできた。

「あのね。おーちゃん!あなた生徒会長だから!
金に強いかずは、会計。サポート力のある翔ちゃんは、副会長、情報管理に長けた潤は書記。おーちゃんが指名したんだから、執行部のメンツくらい忘れちゃダメだよ?」

「………は、はい………」

おどおどと、頷いた。


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