キラキラ
第25章 Count 10
「ん。できた。智、これ読んで」
「?」
ひらりと、プリンターから出てきた紙を、松潤に手渡される。
なんだろう、と目をおとせば、どうやら今度の総会のスピーチの原稿のようで。
「おかしいとこあったら教えて。あと読めない漢字がないかどうか」
「………」
松潤がオーレを飲みながら、俺をじっと見つめる。
ふーん、俺は、当日これを読み上げりゃいいわけだな。
よかった、簡単じゃん。
「うん。分かった」
言って文字を追いながら、口に小さく出してみる。
……つか、読めない漢字って………バカにすんなよ。高校生レベルならいくら俺でも……
思いながら、読み進めるものの、俺は、すぐにその言葉を撤回した。
その原稿は、頭のよさそうな言い回しや、難しい漢字のオンパレードで。
たどたどしい口調に、松潤が横から訂正をいれていく、というなんともカッコ悪いこととなってしまった。
………俺、実年齢絶対ばらせねーわ。
苦笑いして読み終わった原稿を松潤に返すと、俺がつまづいたところに、松潤が赤ペンでチェックをいれていく。
これをもとに、もう一度、打ち直しするんだそうだ。
再び、真剣な顔でパソコンにむかう松潤を、ぼんやりと眺めながら、嵐学園ってのは、レベル高いんだなぁ…と思った。
ぬるくなったミルクティーを飲み干したら、絶妙なタイミングで、相葉ちゃんに「おかわりは?」と言われてビックリした。
寮にもどり、五人で食堂にむかう。
食事は、寮生一斉にではなく、決められた時間内にそれぞれが行けばいいようだ。
少し遅くになった食堂は、既に人数もまばらであった。
「今日は、煮込みハンバーグやでー」
キラキラしたデミグラスソースの皿をカウンターに置いていきながら、茂子さんが豪快に笑った。
「かずくん、大好物やったやろ?」
「………はい」
にのが、照れたようにうなずいてる。
ふーん。
食の好みは、俺の知ってるあいつらと、かわらないんだな。
茂子さんは、俺を見て心配そうな表情になる。
「大野くんは?調子どない?」
「………あ、もう全然大丈夫です」
「よかった。いっぱい食べや」
にこりとして、どん、と、どんぶり鉢に入った白飯をおかれ、その多さにひいた。
なのに、四人とも普通にそれらを手にとってゆく。
つか、食べる量も、現役高校生にはかなわない。