キラキラ
第25章 Count 10
松潤の俺を見る目が優しかった。
「そんな顔できるんなら、いつもそういう風にしてりゃいいのに。常に周りがみんな敵みたいな目をしてさ。もったいねーよ?」
「………」
どう答えていいのか分からずに黙ってると、翔ちゃんがふふっと笑い、そのくりっとした目を細めた。
「はじめは、ほんと手負いの獣みたいだったもんね。最近ようやく時々笑ってくれるようになったとこだったからさ。こんなに、ゆるゆるなあなたは、初めてだよ」
ゆるゆるね………。
ゆるゆる。
なんと言ってよいやら。
小さく微笑んで、俺は、唇をかんだ。
俺が、いつもの俺じゃないのは当然なんです。
だって別人なんです。と、言ってもこいつらは信じてくれるだろうか。
「熱のせいで、どっか一本切れたのかもよ。いーじゃん。俺は、いつものおーちゃんも好きだし、こんなおーちゃんも好きだよ」
実にいい加減に話をまとめようとする相葉ちゃんに、はははっとその場がわいた。
「まあ、そーだね。こんな智も面白いし別にいいよね。明日、もとの智になってるかもしれないしね」
「そーでしょ。おーちゃんはおーちゃんだもん」
「だな。俺らに害はないし」
わいわいと繰り広げられる会話に、俺は、若干置いてきぼりをくらった気分で、その場に固まってしまった。
だって。………まあ、いっか、のノリで、片づけられようとしてる。
高校生ってこんなもん??
「どうしたの。智?鳩が豆鉄砲くらった顔してるよ」
にのが、黙ったままの俺に気がつき、おもしろそうに顔を寄せてきた。
俺は、ぱちりと瞬きを繰り返し、コリコリ頭をかいた。
「………え。いいの。こんなんで?」
「別にいいんじゃない?」
………うーん。
夢だかなんだかわからないけど、助かった。
これなら、こいつらにいろいろ聞いてもおかしくない。
だけど、………この設定に飲み込まれそうで、少し怖い。
だって、俺の本来の居場所はここじゃねーしな………。
もしもこのまま。
嵐に戻れなかったらどうしよう。
………夢から覚めなかったらどうしよう。