キラキラ
第25章 Count 10
「大野くん!元気ですかー?!」
ぼんやりと朝食の列に並んでいたら、プロレスの掛け声のような大きな声がとんできた。
朝から、元気だなぁ………と、ふっとカウンターごしの厨房に目をむけると、ニコニコした笑顔がそこにあった。
「………茂子さん」
「なんや、今日はえらい早いやないの?」
「いや、ちょっと目が覚めて」
昨晩は、あのままベッドに横になったまま眠り込んでしまい、気がついたら、カーテンごしにみえる外は明るくなっていた。
さすがの俺も、小学生低学年並みの睡眠時間を、どかんととってしまうと、もうそれ以上は何をどうしても寝ることができなくて。
腹の虫がなきだしたこともあり、食堂に来てしまったのだ。
「………どしたん。なんかあった?」
「………え?何がですか?」
「ちょっと元気ないね」
「………そんなこと……ないです」
茂子さんは、そーかい?と笑って、山盛りの白飯のお茶碗を俺の目の前にどんっとおいた。
「食べ」
「……こんなにムリ」
「食べ」
「………ちょっと減らしてください」
「オッサンみたいなこといってんじゃないよ。高校生だろ?」
………いや、オッサンなんですわ。
俺が困った顔でいたら、茂子さんは、笑って
「しゃーない。ちょっとだけやで」
と、ほんとにちょっぴり減らしてくれた。
死ぬ思いで全部食べて、野菜ジュースを前に、ぼんやりしていると、
「おっはよー。おーちゃん。早いね!」
と、爽やかな笑顔で相葉ちゃんが隣の席に座った。
「おはよ、智。体平気?」
続いて、にのが向かいの席にちょこんと座る。
「ん、大丈夫。昨日はありがとうな」
理由が理由だけに、少し恥ずかしい思いで礼を言う。
相葉ちゃんのトレーには山盛りの白飯。
にののトレーには、それより少し小さなお茶碗。
何にせよ………高校生はよく食べる。
そうしてるうちに、松潤と翔ちゃんも食堂に入ってきた。
あの二人も、ずっと一緒に行動してるな。
目で追っていると、
「………?」
ほんの少しの違和感。
松潤が話しかけてるのに、翔ちゃんがそっけない態度をとってるようにみえる。
「………!」
ふと、小さくふらついた翔ちゃんを、松潤が抱き止めた。
思わず息をのんだが、なぜか怖い顔をしてる翔ちゃんと、苦笑いしてる松潤。