キラキラ
第25章 Count 10
怒ってますオーラ全開の翔ちゃんだったが、俺らの姿を見つけると、ガラリと表情を入れ替えた。
「おはよう、みんな早いね」
優等生のような笑顔。
後ろからついてきてた松潤も、「おはよう」 と、なに食わぬ顔で、にこりと笑った。
列に並んでるときのやり取りをみてなかったら、なんとも思わなかったろうが、俺はそのぎこちなさを感じ取ってしまい、思わず聞いてしまった。
「………どうした?」
「え?」
「二人。喧嘩でもしたか?」
「………え?してないよ」
翔ちゃんが、おかしそうに笑った。
………でも、目が笑ってねーぞ。
松潤に目をむけると、歯切れ悪く「いや………まぁ」みたいなことを言ってる。
すると、焼き魚をつっついてた相葉ちゃんが、
「いつものことじゃん」
と、しれっとつっこんだ。
「どーせ、潤が無茶したんでしょ………ったく。学習しないよね。翔ちゃん怒るに決まってんじゃん」
「………無茶」
反復して、一瞬考えて………。
ちらりと翔ちゃんをみたら、真っ赤になりながら俺らと目を合わさないように納豆をかきまぜてる。
………ああ、そーいうことか。
この設定下で恋人どうしなのは、お前らも、なんだな。
松潤は、いたずらが見つかった子供のような目で肩をすくめた。
「……………ちょっと、な」
「は?ちょっと、ってなに」
ぼそっと言った松潤の言葉に、即座に翔ちゃんが、きっと、顔をあげ、低い声でかみついた。
「いや………悪かったってば」
「………お前さ、謝りゃ許してもらえると軽く考えすぎじゃねぇの?」
眉間にしわをよせて、ガチで怒ってる翔ちゃん。
………珍しいもんみれるな。
黙って成り行きを見つめてたら、松潤が全然悪いと思ってない顔で、
「ごめんって」
と、言った。
それが許せなかったのか、翔ちゃんの口から、さらにぼそぼそと、怒りの言葉がこぼれ出た。
「………一回だけっつったのに。お前は数もかぞえらんねーのかよ?」
「……翔………おい」
「三回もすりゃ次の日に支障がでることくらいわかんだろーが」
「翔って!」
「なんだよ!?」
「続きは部屋で聞くから!」
「………」
「………」
沈黙。
くくっと笑うにの。
苦笑いしてる相葉ちゃん。
俺は………笑っちまった。