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キラキラ

第25章 Count 10


風呂も終え、ぼんやりとベッドに寝転んでいたら、コンコンと力強いノックの音がした。

時計に目を走らせれば、針は10時をさしている。

こんな時間に部屋を訪ねてくるやつなんか、今までいなかった。


……誰だ…?


はい、といいながら警戒して細くドアをあけたら、そこには、黒のジャージに黒のTシャツ姿で、微笑む長瀬くんが立っていた。

「大野。ちょっといいか…?」


………嫌っつっても入るんだろ………


少しひねくれた考えになりながらも、


「はい………」


と、扉を大きく開いた。


長瀬くんは、長身を少しかがめるようにして部屋に入ってきて、俺が差し出した椅子に座った。

俺は、勉強机に座ろうか、ベッドに座ろうか少し悩んで、長瀬くんと向き合うようにベッドに座った。

長瀬くんが、髭をさわりながら、じっと俺を見つめてる。


………なんだよ………


その目から逃げるように、足元に目をおとしていたら、まるで世間話でもするかのように、
長瀬くんは、さらりと聞いた。


「……大野。おまえ…今困ってることないか」

「………え?」

「ちょっと気になってな………」


表情が、このごろとても寂しそうだから、と言われ、俺は面食らう。

さっき、相葉ちゃんたちに指摘されたばかりだ。

そんなに、俺は分かりやすい態度をとってしまってるんだな。

しかも寂しそうって………。

正直すぎるだろ。

だけど、やっぱり本当のことなんて説明しようがないから、


「………別になにもないです………」


と、俺は、小さく首をふった。


すると長瀬くんは、言う。


「茂子さんが言ってたぞ。大野くん、このごろ飯も残すようになってるって」

「………」

「少し前までの、好き嫌いが多くて飯を残す、我が儘な大野くんじゃないって。だから、ちょっとおかしいから話をしてこいって命令されたよ」

「………」

「みんな、心配してる。俺でよけりゃ話してみないか。俺が駄目なら茂子さんでもいい。相葉や、松本を呼び出してもいい」

「………」

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