キラキラ
第25章 Count 10
何をしたらよいのか。
どうしたら帰れるのか。
そもそも、なぜ、こんな夢をみているのか。
………いつまでたっても何一つ分からなかった。
だけど、長瀬くんの前でしこたま泣いて、少しだけスッキリした俺は、再びなるようになれの思いに切り替わることができた。
困惑した顔で、ずっとそばにいてくれた長瀬くんが、あれから特段何も聞こうとしてこないのもありがたかった。
頑固な俺が、口を割るわけはないと判断したのだろう。
そして。
何もわからないまま、生徒総会前日となった。
最終の読みあわせと打ち合わせをするから、と、HR終了後、風のような早さで、一足先に生徒会室に向かった松潤。
「あとから、必ず来いよ」と念押しされて、頷いた俺は、ノロノロと鞄に教科書をつめこんでいた。
このやる気のなさは、もとの智に戻ったな、と言わしめるくらい、近頃の俺は、幽霊のようにヤル気なしで。
自分のあるべき場所に帰ることだけを考えてるから、正直、全てがもうどうでもいい。
だが、今を懸命に生きてるこいつらに申し訳ないと思うから、自分にできるギリギリを手伝っているのが現状だった。
「おーちゃん、ごめん。職員室行かないといけないから、先に行ってて?」
申し訳なさそうに相葉ちゃんが頭を下げる。
「あ………うん」
「生徒会室、分かるよね?」
「………分かるわ」
さすがにこれだけ毎日通っていたら、いくら俺でも場所くらいはバッチリだ。
心配性の寮長に、くすっと微笑み、俺は相葉ちゃんと反対方向に歩き出した。
生徒会室は、今いる校舎を出て、反対側の一階にある。
中庭を突っ切り、ぼんやり歩いていたら、見たこともないやつが俺に駆け寄ってきた。
「あのっ………会長。松本さんから伝言です」
「………?」
「最終の打ち合わせ生徒会室じゃなくて、特活室に場所変更だそうです!」
「………ふうん………わかった」
「じゃあよろしくお願いします」
言って、かけていく小柄な後ろ姿をみつめる。
あいつはだれだったかな?
と、考え。はた、と気づいた。
トッカツシツって………なんだ?
立ち止まってると、そばを見たことのある学生が歩いてたので、思わずその腕をつかんだ。
「ひっ………なんすか?!」
怯える彼に、聞く。
「トッカツシツってどこ?」