キラキラ
第25章 Count 10
相手は年下だ。
高校生だ。
最初はそう思ったけど、考えてみりゃ今の俺だって高校生じゃねーか。
しかも、三対一の、果てしなく理不尽な立場じゃねーか。
だったら、やり返したってかまわねーよな?!
体を捻って、両側の学生の足を思いきり蹴りあげた。
一瞬ゆるんだ力を見逃さず、すかさず腕を振りほどいて、肘を思いきりアゴにさしてやった。
小柄な学生は、変なうめき声をあげて、その場に座り込んだ。
すると、
「あ。今、やり返した?!」
と、美形が嬉しそうに叫んだ。
「………あ?」
「暴力!振るったね??」
「何いってんだ、おまえ」
「見たからね!」
「うるせーな!何いってんだよっ」
言って、そいつを蹴りあげようと足をふった………瞬間だった。
「ちょっと待ったーー!!」
という、聞き覚えのある大声が飛んできて。
え?と思ったのも束の間、ものすごい力で抱きすくめられた。
「なっ………」
慌てて顔をあげたら、
「おーちゃん!落ち着いて!」
焦った顔の相葉ちゃんが、俺がそれ以上動けないようにぎゅっと抱き締めていた。
「ちょっ………離せっ」
「ダメっ!おーちゃんは手をだしちゃダメなんだって!」
「はっ?なんでだよっ?!」
怒鳴り返してたら、横から疾風のように飛び出して、その美形に蹴りをくらわせたのは、翔ちゃん。
てっきり喧嘩が弱いと、勝手に思ってたから、その豹変ぶりにびびる。
「智、あなた、次がないんだよ」
静かに俺を振り返る翔ちゃんの目は、怒りの色をたたえてて。
「そう。次、暴力沙汰おこしたら退学なんだぜ?それも忘れてた?」
颯爽と歩いてきた松潤が言いながら、翔ちゃんが蹴った美形の胸ぐらをつかみあげて、そいつに顔を近づけた。
「………で。おまえはまだ、あきらめてねーの?」
「はい!あきらめてません」
「しつけーな」
「僕の長所ですから」
「………何度もいうけどさ、俺、智とは付き合ってねーし?」
「嘘」
「嘘じゃねぇよ」
「じゃ、誰と付き合ってんですか?!」
………何の話?
ぽかんとそのやりとりを見つめる。
相葉ちゃんがこそりと耳打ちしてくれた。
「あいつ、潤を熱烈に崇拝してんだ。で、智が潤の恋人だと思ってる」
「…………え?」