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キラキラ

第25章 Count 10


「そうだよ………っつか。おまえ、智に謝れよ。
殴ったよな?」


毅然といい放つ翔ちゃんは、強い瞳をしてる。
対照的に、やつは、底の見えない真っ黒な瞳をしていた。

バカなだけなら救いようもあるが、危ないやつは
関わらないのが一番なのに。

今、この瞬間からこいつの興味は、翔ちゃんにロックオンだ。

俺はさっきを思い出す。
ちょっとヤバイ目をして、俺を殴った。


………翔ちゃん…危険だよ、こいつ。


すっと冷たい汗が背筋を伝う。
松潤を思うあまり、変になってるのか。


「へぇ………あんたが松本さんの」


ぶつぶつと繰り返すその口ぶりが不気味でしょうがない。

とんでもないのに好かれてんだな、松潤……と、はらはらしていたら、しびれを切らしたように、翔ちゃんが怒鳴った。


「おい、聞いてんのかよ?!智に謝れ!!」


「聞いてるさ」


その顔は、醜く嫉妬に歪み。


「あんたさ………あんたみたいなおぼっちゃま、松本さんに似合わないなぁ」


言い捨て、ふいに翔ちゃんにつかつかと向かっていくやつの腕を、松潤がつかみそこねた。


「あ………おいっ!」


まずい、と俺が一歩踏み出し、翔ちゃんが身構えたのが同時だった。


「翔!」


松潤が怒鳴って、走りだし、一瞬、場が緊張感に包まれた………その時。


ガンっ!!という、荒々しく扉をあける音とともに、


「そこまで!!」


と、いう凛とした声が響いた。










「かず…もっとマシなの連れてこいよ……」

パソコンの画面を睨みながらぼやくのは、松潤。
かずは、資料の束をホチキスでとめながら、

「だってぇ…職員室行ったら、木村しかいなかったんだもん」

と、うつむく。


俺がトッカツシツとは、どこだ、と聞いた相手は、どうやら文化部長の中丸とかいうやつで。


彼は、俺が特活室に変更と言いにきたやつと喋ってるとこから見ていたらしい。


あのあと、たまたま生徒会室に寄ったら、俺が来ないと、松潤たちがぼやいているのを見て、俺が特活室に向かったことを教えてくれたそうだ。


で、俺が接触していた人物が人物だっただけに、念のため、話の分かる国分先生を呼んでこようと、職員室に向かわせたのが、かずだった、というわけで………。


そのかずが連れてきたのが、鬼教師こと木村くんだったのだ。






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