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キラキラ

第25章 Count 10

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パチパチパチパチ



心がこもってるのかこもってないのか、よく分からない拍手の音に、はっと我に返った。

たった今、松兄の腕のなかで、激しいキスをしていたはず……。
唇にいまだ残る熱さが、それを物語る。
ところが。


「えっ……?」


上下左右見渡せば、文字どおり何もない真っ白な世界に、気づけばたった一人て座っていた。

まさしく映画でみるような、無の世界。


なに……?
ここどこ?



「ゴーーール!!」

「ぅわっ!!!」


突然、至近距離で、陽気な大声がして、飛び上がった。
慌てて、振り返れば、そこには、ピーターパンのようなヒラヒラの緑の服を身に纏った、金髪の髪の相葉ちゃんがいた。


「えっ……相葉ちゃん?!」

「ブブーーっ。よく似てるといわれるけど違いまーす」


大きく胸の前でバッテンをつくり、にこりと笑う彼は、よくよく見たら雰囲気が少し違う。

………確かに相葉ちゃんのような底抜けなお人好しの空気は、ない。


「それより、無事ゴールおめでとう!」

「……ゴール?」

「「松兄を探せ!」っていうゲームだったんだよ、これ」

「………?」


…ゲーム……意味が分からない。
イミフだイミフ。


ポカンとしていると、緑の相葉ちゃんは、ニコニコと説明を始めた。


「パラレルワールドって。知ってる?」

「………知らねぇ」

「……えっとね。現実と平行して存在する世界のこと」

「……SFみたいだな」

「まあ、そう。さっきまであなたがいたのはそこ」

「………夢じゃなかったのか?」

「まあ、ある意味夢だけど。夢にしたらリアルだったでしょ?あの世界は、確かに別に存在していて、そこにあなたをほおりこんだんだ」


………ほおりこんだ。


「………なんで」


なんでだ。
やっぱり、意味が分からない。


俺が低い声になったからだろう。

緑の相葉ちゃんは、そんな、怖い顔しないでよ、と、からから笑って、可愛く小首を傾げた。


「まあ………ひとつには、単に俺が嵐のみんなをコンプリートしたかったからなんだよね。今まで、潤くんー、にのー、翔くんの三人を招待してんの、俺」

緑の相葉ちゃんは、一人ずつ名前を呼びながら指をたてて、得意そうに鼻をふくらませた。

「三人ともそれぞれの世界で、いろいろ学んで来てくれたよ」

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