キラキラ
第25章 Count 10
「え。三人ともそのパラ………なんとかにほおりこんだわけ?」
いつの間に………!
俺は驚きを隠せない。
彼らにはなんの変化もなかったから。
「うん。みんな、綺麗だったよ」
わけわかんないことを言いながら、緑の相葉ちゃんは、ああ……でもね、と、手をヒラヒラ振った。
「あなたには特に学んでもらうことは思いつかなかったの。適度に緩くて適度に真剣だし、甘え上手だし。で、思ったんだ。ゲームにしちゃおって」
しちゃお………なに、その軽いノリ。
つか、俺が松兄に会えなくて、みんなと離れて寂しく思ってるときも、お前はこれをゲームだと思ってたってことだよな?
………フツフツと怒りがわいてくる。
「だから、そんな怖い顔やめてよ。あなたも綺麗だったよ。泣き顔」
「………うるせぇな」
最早、はぁ………とため息しかでない。
緑の相葉ちゃんは、悪びれもなくニコニコして、俺の傍にちょん、と座った。
「嵐学園楽しかった?」
「………別に」
「茂子さん優しかったね」
「………まあな」
そこはな。
「そろそろ帰る?」
「そうしてくれ」
即答して、ギロリとにらんだ俺に、緑の相葉ちゃんは、おお、怖、と肩をすくめて、ペロッと舌を出した。
「松兄が大事な人だって再確認できたでしょ?」
「………ああ」
「嵐のみんなが優しいってことも」
「………そうだな」
「言うなれば、それが、収穫だね」
ニッコリ笑って、緑の相葉ちゃんは、よいしょ、と立ち上がった。
「いつもは、時間軸はもどせないって言ってるんだけど、今回は、迷いこんだ場所からの再スタートにしたげるね。大サービス」
着々と話をすすめてる緑の相葉ちゃん………のそっくりさん。
………この状況は、こいつのせいなんだ、ということがようやくわかり始めた。
「………ていうか、お前なんなの」
「俺?俺は、あなたたちの世界の緑を司る管理人とでも、いっておくね。一部の方々には、緑の妖精なんて、言われてる」
「訳わかんね………」
頭を抱えたら、緑の相葉ちゃんは、楽しそうにクスクス笑った。
「細かいことは気にしない気にしない」
「お前が言うな」
「ふふ。楽しかったよ。じゃあね、おーのくん」
パチリと緑の相葉ちゃんが指をならす。
とたんに、ふっと目の前が暗くなった。