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キラキラ

第25章 Count 10

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パチリと目をあけたら、心配そうに俺をのぞきこんでる、ドングリ目。


「智くん………!?」


翔ちゃんがビックリしたように目を見開いてる。

学園の翔ちゃんより、ちょっぴり丸くて、やんちゃな中にも適度に大人の雰囲気をもつ彼は、間違いなく長年一緒に走ってきた俺の知ってるその人。


………ああ、帰ってきたんだ。


ゆるりと手をあげ、翔ちゃんの存在を確認するように、その腕をつかんだ。


「翔ちゃん………」

「良かった、兄さん、大丈夫………?しんどくない?」


ぼんやり名を呼ぶ俺が、意識が混濁してると思ったのか、翔ちゃんは心配そうに一つ一つゆっくり質問してくる。

俺がつかんだ手に、そっと自分の手をのせて。

その温かさに、心がふわりとした。


なんか………懐かしい。


俺がじっと黙ってるもんだから、翔ちゃんは遠慮がちに俺の額に手をおいた。

「あ……あれ?さっきまで熱があったのに」

言われて思い出す。

そーいや、別の世界にほおりこまれる直前は、そんなやりとりをしてた気もする。

なんだ、俺、治った設定からスタートなのな。
いきなり体しんどいのも嫌だけど、突然治っててもみんなビックリしねーかな。

のんきに思いながら、ゆっくり体をおこした。


「…いや、別にしんどくない」

「え、ちょっと待って。もう少し横になっててよ」 

「大丈夫だって」 

あわてふためく翔ちゃんが、俺の肩をおしてもう一度寝かそうとするから、俺は苦笑してそれを制した。


ごめんな。 
俺、別世界で治ってきたんだよね。


「翔くん、リーダーを病院連れて行ってる間に、撮れそうなやつを………」

言いながら戻ってきた松潤が、ちん、と、座ってる俺をみて、目を丸くした。

「え。リーダー?!起きたの?!」

「あ………うん」

「どうしたの?大丈夫なの?」

「ごめん、全然大丈夫………」


さっきの翔ちゃんみたいなやりとりをしてたら、マネージャーを連れて相葉ちゃんが、大量の保冷剤を持ってにのが、帰ってきた。

みんな一様にびっくりしていたけれど、俺があまりにも普通なものだから、肩透かしをくらったように笑っていた。

しまいには、「知恵熱」だったんじゃねーの、と話がまとまる始末。

俺は赤ん坊じゃねーぞ、と思いながら、なんだか楽しくて嬉しかった。

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