テキストサイズ

キラキラ

第3章 フラワー

***** ***** *****


「じゃ、無理すんなよ」

「うん。ありがと」

某スタジオの駐車場で、潤をおろし、俺は、テレビ局方面にハンドルをきった。

熱はある程度さがったとはいえ、まだまだ火照っている体を無理矢理動かしてる潤の姿が、バックミラーごしに小さくなってゆく。

今朝は、あのキスのあと、すっかり目が覚めてしまい、二度寝は、おろか、潤の熱が、また、ぐんとあがる騒ぎになった。

薬を飲ませて、ギリギリまで横にさせてたけど、本当に代わってやれるもんなら代わってやりたい。

(ガタイの割には、熱に弱いやつなんだよなあ)

いらない、と粘る潤を、半ば脅しながら、朝食を食べさせ、助手席で寝るように促して、連れてきた。

本調子には.全くといっていいくらい、ほど遠いけど、代わりがいない以上、頑張ってもらうしかない。

(世話が焼けるよ)

つい、ほころぶ顔。

俺にしたら、それを口実に一緒にいれる時間ができるわけだから、嬉しくてしょうがないんだ。

運転しながら、笑ってるのもあやしいから、咳払いをして顔を仕事モードにした。

赤信号を確認して、減速する。
潤の車は、俺のと違ってスポーツタイプ。
ちょっとアクセルを踏んだだけで、とんでもない馬力がでるから、気を使う。

マネージャーの車で、それぞれの仕事場に行くことも考えたけど、こんな機会もないから、二人で動くことにした俺たちだ。

晩に五人での収録があるまでに、それぞれの仕事をこなしていかなければならない。

俺は、収録と、取材1本の予定。

潤はスタジオで撮影。

幸い、ニノと二人での仕事らしいから、調子悪くなってもなんとかなりそうだな。

信号がまだ変わらないのを確認して、俺は、スマホをとりだし、ニノに、

『潤、熱あり。フォローよろしく』

とだけ、送信した。
すぐに既読がつき、了解のスタンプがかえってきた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ