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キラキラ

第3章 フラワー

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段取りよく進んだ撮影は、思ったより早く終わった。

後にマネージャーからきいた話では、ニノが手をまわして、撮影する順番や、自分一人でもかまわない撮影を増やし、俺の負担を減らしてくれてたらしい。

ぎりぎりまで休みながら、要所要所で、集中すれば良かった俺は、大きなミスをすることもなく、終えることができた。

お礼をいう俺に、「お互い様」と、ニノはふふっと笑い、次の仕事にむかっていった。

(本当に……翔くんとニノには、感謝だな)

俺は、この撮影を終えたら、夕方の五人での収録の仕事まで何もない。

マネージャーに早めに送ってもらい、楽屋で休みながら、みんなを待ってることにした。

幸いにも、薬がきいてるのか、大分ラクになってきた気がする。

途中、自販機で買った水を額にあてながら、時間を確認し、いつもの楽屋の扉に手をかけて……人の気配にきづいた。

しっかり閉まってない扉のなかから、ぼそぼそと話し声が聞こえてくる。

(……俺より誰か早くきてんの…?)

「……うーっす……」

小さく声をかけながら、部屋に足を踏み入れて。

「…………!」

目の前の光景に、思わず息をのんだ。

長椅子に座ってる人物にのしかかるように、覆い被さり、どうみても口づけをしている様子の男。
背が高くて、足が長くて、後ろ姿だけでかっこよさげなのが分かる。

相手の顔は、見えないけど、そいつらが、フレンチキスとかではなく、ディープなすっごいやつをしてる。

二人とも夢中になってて、入ってきた俺に全く気がついてない。

(おーい……嵐の楽屋ですよ、ここは)

迷ったけど、声をかけないわけにもいかない……。
どこのカップルだ、こら。

「あのう」

「!!!」

できるだけ、平静を装って、普通に声をかけたら、キスしていた二人が、弾かれるようにこちらを見た。

「……え!??」

俺は思わず、大きな声を出してしまった。

「お……おう。松本……」

いたずらを見つけられたような、ばつの悪そうな顔をしてこちらを振り返ってるのは、俺らの先輩、松岡くんで。

「…………」

長椅子に座って、こちらをみて固まってるのは。

「リーダー……?」





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