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キラキラ

第3章 フラワー



真っ赤に濡れた唇。上気した頬。

今まで見たこともないほどの色気をまとったリーダーがそこにいて。

「……ほら。だからこんなとこでダメだっつったじゃん……」

掠れてて、気だるくて、濃厚なキスから覚めやらぬ色香を含んだ声音。
松岡くんに非難めいた視線をなげかけてるリーダーは、恐ろしいほど、妖艶で綺麗だった。

俺は、瞬時に二人の関係性を悟った。

「……んなこと、言ったって……あ!あれだ!大丈夫。俺らのこと、松本知ってんだろ?」

「……なわけないって」

「あれ?櫻井だっけ?」
 
「そーだよ……」

あきれたようにため息をついたリーダーは、乱れた衣服を手早くなおしてる。

(…………なんだか、俺、邪魔した感じ?)

どうしたらいいか分からなくて、俺は、馬鹿みたいに突っ立ってた。

松岡くんが、「ああ………っと」と、とぼけた顔でこちらに歩み寄ってくる。

長めの上着を翻して、歩く長身の先輩は、相変わらずスマートでかっこいい。

その人が、俺の表情をさぐるように、腰をかがめて、念をおした。

「よーし、松本。何も見てないよな?」

いやいや。

「……いえ。見ました」

「そこは、お前見てないって言えよ!」

「いや、無理でしょ」

苦笑いするしかない。

松岡くんは、困ったように指を1本口にあてて、それはそれは軽く、「ナイショな」と言った。

「大丈夫だよ、松潤はしゃべんないよ」

リーダーが後ろから口をはさむ。

「それより、時間大丈夫?」

「げ。やべ、行くわ」

松岡くんは、腕時計に目をおとし、慌てたように出て行きかけて、ふと、俺をみてニヤリと笑い、再び顔を近づけてきた。

「?」

「……櫻井、あいつ、待ってんぞ。早くヤっちまえ」

「!!」

「松兄っ!!」

松岡くんは、おっと、とリーダーの蹴りをヒラリとかわし、魔法のような素早さで、リーダーの顎を上向け、チュッと軽くキスをして、「じゃあな」と、出ていった。

(は………?)


何が起こった?

何……言われた?

ダメだ……限界だ。

思考能力のキャパを越えた。

(……俺、熱上がりそう……)

「……?松潤?」

下から心配そうな声。

ゆっくりと声の主を見つめると、ちょっと困ったような表情で、見上げてくるリーダー。

「……大丈夫?」

「……全然大丈夫じゃない」



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