テキストサイズ

キラキラ

第3章 フラワー

***** ***** *****


「お疲れさまでしたー」
「またね」
「明日な」

労う言葉をかけあい、別の仕事に向かうもの、帰るものに、わかれる。

5人での収録は、本当に楽しかった。

なにも言わないでも、わかりあえるこの感覚は、ライブ中に一番感じるものだけど、こういう、居心地のいいスタジオで、お馴染みのスタッフとする仕事の時も改めて感じるもので。

体調が悪かろうが、待ってくれない収録も、仲間のおかげで、何も心配なくこなすことができた。

もっとも、もうこの頃には、俺の体も落ち着いていて、みんなにも、自然な笑顔をむけることができた。

リーダーの衝撃発言で、ふらふらだった俺は、あのあと、翔くんに続いてやってきた相葉くんの表情も曇らせた。
ニノから情報がいってたみたいで、「まだ、辛いんだ…?」と、俺の赤い頬を触り、気づかうような目をさせた。

違うんだ……これ、多分熱の熱さじゃない……なんて言えるはずもなく。

翔くんと相葉くんに、今すぐ寝てろ、と長椅子に追いやられたのをいいことに、ドキドキする胸を落ちつかせる余裕は、できたけど。

リーダーが意味ありげに含み笑いをするものだから、絶対に何もしゃべるなって目で脅しておいた。





「大分マシになったみたいだな」

ハンドルを握る翔くんの隣で、俺は、うん、と頷いた。

収録中も、体は、軽く、予定通りこなすことができた。

翔くんと崖を登る担当だったから、ニノが「代わろうか」、と、こっそり申し出てきてくれたけど、断る余裕もあった。

むしろ、このゲームに関して言えば、翔くんより俺の方が、登るスピードが早かったという、笑える結果になり。


「メシどうする?」

「あー……なんか作るよ」

「大丈夫か?」

「うん。もう大丈夫っぽい」

翔くんがチラリとこちらをみて、左手をのばし、俺の額に手をのせる。

「だな」

翔くんは、安心したような笑顔をみせた。

ふと思う。

今日も、翔くんは朝まで一緒にいてくれるんだろうか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ