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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


Masaki



ヤバかった……さっきは、マジヤバかった。


喉が渇いたね、と入ったコンビニのイートイン。

向かいの席で、オレンジジュースを美味しそうに飲んでいるかずを見ながら、俺は、はああっとため息をつきたくなるのを、必死で我慢した。


盲点だ。
マッサージチェアなんかで、かずのあんっな色っぽい声が聞けるなんて誰が思う?!


くすぐったかったのか、痛かったのか知らないけれど。

動きはじめたマッサージ器に体を預けたかずが、肩をすくめながら、「あぁ……」なんて言い出したから、俺は、飛び起きた。

目を向けたら、薄くあいた唇から、ため息をもらしながら、体を反らして上向いてるかずの顎が見えて、頭がボンっと音をたてて爆発したかと思った。


こんな公共の場で、そんな表情みせて、どういうつもりだって話だよ?!


慌てて、その場から即離脱。
かずが不思議な顔してたけど、当たり前だろ?


それから、俺は、何をしても何を見てもさっきのかずの顔と声がちらついてしょうがないのだ。


「相葉くん?……どうしたの?」


気がつけば、ペットボトルから口を離し、不安げな顔をして、かずが、じっと俺を見据えてる。


ヤバイ。
こんな俺が考えてることなんて言えない。


「い、いや、なんでもないよ……?」


ははっと笑って、コーラをぐびぐび飲んだ。

頼むから俺の心なんて読まないでくれよ?、と、願わずにいられないほど、最近の俺の頭は煩悩のカタマリ。

恋人としてのイロハは、かずと俺のタイミングがあった時に、二人ですすめて行きたい、と以前、潤に話した。

無理矢理は絶対に嫌だから、二人ともがその気になったときに、って。
俺は、そう決めた。


でもさ、でもさ。
超能力でもない限り、相手がその気になってるかどうかなんて、分からなくない?!

さらに、煽ってんのか、天然なのか。
大野家にお邪魔すると、嫌というほど甘い翔さんと潤の様子を見せつけられる。

潤も潤で、俺といるときには決してみせない笑顔を、惜しげもなく晒してる。

そんなのを見ても、かずは慣れてるのか、平然とテレビを見てたりして。

俺だけがアワアワしてるんだ。

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