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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


ああ……超能力が欲しい。

かずのチカラが欲しいよ……。
この際だから、かずの本心を読んでみたい。


俺は、スマホをいじるかずの細い指をみつめた。


かずは、俺とのこと、どう思っているのだろうな。

付き合って半年以上たつけど、なにもしないことに……なんか思うとこある?
俺に不満とかは……ないのかな。

健全な男子なら、好きな人には触れたいなって……さすがに思うよね?
思ってくれてるよね?

しかも身近に、甘いカップルが二組もいる。

ちょっと……そろそろ距離を縮めてもいいかな?
って思ってるんだけど……どう?かず?


「あ。翔さんから、今日すき焼きするから、夕飯時には二人で帰ってこいってー」


ラインをしながら嬉しそうにかずが顔をあげた。
俺は、曖昧に頷いた。

俺は、かずの彼氏っていう立ち位置でいいんだよね?


「楽しみだね」


かずが可愛らしく笑うから、俺も笑った。

取り繕うように、コーラの残りをぐびぐびっと飲み干した。

……言いたいことも、とりあえず飲み込んだ。







大野家の扉をあけると、すぐかずが怪訝な顔をしたことに気づく。


「どうしたの?」 

「……見たことない靴がある」 


かずの視線の先には、バスケ好きにはたまらないブランドのシューズ。


「お」


しかもニューモデルときた。

俺が雑誌を見ながら、欲しいなあ、と羨ましく見ていた現物がそこにある。

すげー。
これ、まだ出たばっかのやつじゃん。

へぇーと見つめながら俺は、感嘆の声をあげた。


「かっけー……誰? 翔さんの?」


すると、かずは、首をかしげた。


「違うと思う……翔さんの趣味じゃないもん。潤くんは……この靴でしょ。智さんのにしたら大きいよ」

「……誰か他にきてるってこと?」

「知らないけど……」


いいながら、ただいま、とリビングの扉をあけるかずに続いて、お邪魔します、と声をかけた。


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