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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「あ、お帰り」

リビングに入ったら、エプロンをした潤が、グラスを運びながら、笑顔で出迎えてくれる。
キッチンには、翔さんがいて。

なんだよ、ここは新婚夫婦の家か?!と、思わずつっこみそうになった時、ソファから一人知らない人物が立ち上がったのが目に入った。


「……お邪魔してます。初めまして」


そういって、彼はペコリと頭を下げた。


誰……?
かずと顔を見合わせてから、俺らも恐る恐るペコリと頭を下げた。


「……突然おしかけてすみません。中島といいます」


甘い声で突然の訪問を詫びるその人は、優しい目元をした色の白い……さながら、王子様のような風貌の青年であった。

サラサラの黒髪に、色っぽい大きめの唇。
長めの前髪からのぞく瞳も、大きくて、全体的にパーツがはっきりしてるなかでも、柔らかな雰囲気を醸し出してる。

グレーのパーカーに細身のボトムを品よくあわせていて……あのスニーカーの持ち主はこの人か、と合点がいった。
 

キッチンから、菊菜を山盛りにしたボールを持ってきながら、翔さんが俺らに紹介してくれる。


「健人っていうんだ。俺の高校の時の同級生なんだけど。相談したいことがあるっていうから、飯食いながら聞こうと思って」

「え……」


相談事?
なら、俺らは邪魔じゃないの?

困惑した思いが顔に出たのだろう。

その中島さんという人は、穏やかに否定した。

「いえ。いいんです。できるだけたくさんの意見が聞きたいから。あなた方も誘って、と翔に言ったのは俺です」 

「……そう……ですか……」


なんの話か知らないけど、俺らの意見なんて役にたつのかな?

でも、なんだか寂しそうに見える中島さんの表情が気になった。

チラリと潤を見たら、潤も「俺も、呼ばれたんだよ」というように目配せしてくる。

俺たちに聞かせてもいい相談事っていったいなに?

かずともう一度目をあわせて、首をかしげた。

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