
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
そういって顔をあげた中島さんは、泣くのを必死で我慢してるような笑顔を浮かべた。
「風磨……風磨が、最近俺に触れてこなくなったんだ」
「……」
「なんでだろうって。女の子の方がやっばりいいのかな…って思ったら」
「そう考えるのは早計だろ」
翔さんが静かに口を挟んだ。
「……」
いくら鈍い俺でも、この会話の流れで察した。
中島さんも俺たちと同じなんだ。
大事なヒトがいるんだ。
それは、同性で。
……だけど、今、少しすれ違ってしまってるんだね。
中島さんが、俺たちも同席させたわけがわかった。
翔さんの意見だけではなくて。
リアルに今、恋人として成立してる俺たちの生の話が聞きたいんだ。
ふと、かずに目を向けると、きゅっと口を引き結び、真剣な顔で相槌をうってる。
そのとなりで潤は、苦しそうな顔をしてる。
そうだよね。
俺らにとっては、他人事じゃない思いがすごくあるよ。
思いを伝えるだけでも、きっとみんなそれぞれが、ものすごい葛藤があったはず。
だからこそこんなデリケートな問題、とてもじゃないけど笑い飛ばせる気持ちにはなれない。
「……最近は?会ってるのか?」
翔さんが、首をかしげて、中島さんを見つめた。
中島さんは、うん、と頷き、
「でも、俺から誘わないと、会おうってならない。今、入ったばっかだから大学も忙しいみたいだし……。会っても、飯食って、じゃあ……みたいな感じ」
都内の某国立大学に進学したという、中島さんのパートナーの、風磨さん。
中島さんは、というと、学部は違うが、翔さんと同じ私立大学だという。
みんな大学一年生。
大学は違っても、始まったばかりの大学生活はそうみんな代わり映えはしないだろう。
「……まあ、そこまで、忙しくはねぇはずだけどな。ただ、あいつの大学、もうすぐ学祭だろ。その準備でバタバタしてんじゃね?」
「……学祭……そうなんだ」
「……知らなかったのか?」
「そんなのがあるなんて、教えてもらってないよ……」
小さく言って、体を小さくする中島さんを見てると、気の毒になってきた。
こんなに素直そうで美人な彼を悲しませるなんて、風磨さんってどんなやつなんだ?!
