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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


すると、密かに憤慨してる俺に同調するように、かずが、唐突に口を開いた。


「……俺……思うんですけど」


その場にいた全員がかずを見た。
かずは、その澄んだ茶色い瞳でまっすぐに中島さんを見つめていた。


「……中島さんは。そのパートナーの方に、もっとワガママになってもいいと……思います」


……普段は、物静かなかずが、少し頬を紅潮させて、懸命な顔をして訴えてる。

初めて出会った俺らにも、本音をもらさずにはいられないほど追いつめられてる中島さんに、届けとばかりに真摯な口調で。

中島さんは、その声音に惹かれるように、うつむき気味だった顔をあげ、潤ませた目で、かずを見つめた。

俺も、潤も、翔さんも、そんな二人を黙って見守った。


「あの……その人のこと本当に好きなら、……遠慮してちゃダメだと思います……もっと本音言わなくちゃ……」


かずが訴える言葉に、中島さんが、静かに唇をかんだのが分かった。

図星を言い当てられた顔になった。
でも、その口元は、すぐに皮肉げに歪む。


「……なら。あなたは、それができてる? そんな女みたいなこといえる? あなたが俺の立場なら、嫌われたらどうしようとか……怖くない?」

「怖いです。怖いけど……」


小さく、だけど、毅然とした顔で答えて。
かずは、黙ってる俺をちらりと見上げた。

どきっとして、顔を強ばらせた俺に、かずは……ニコリと笑んだ。


「……俺なら、きちんと問います。しばらくグルグルしてる期間はあるかもしれないけど、誤魔化したくないし、誤魔化されたくないから。……やっぱり好きだから」

「……」


……俺は……その瞬間とてつもなく感動した。
泣きそうになった。
マジで。

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