
キラキラ
第3章 フラワー
潤が、作ってくれたパスタは、美味しかった……んだろうけど、正直、味が分からなかった。
(今から、こんなんでどーすんだ、俺)
必要以上に緊張してるみたいな自分自身につっこんでしまう。
風呂から上がり、潤の部屋着をかりて、ソファーに沈んでる今も、ドキドキが止まらない。
(……俺、乙女かよ)
潤が浴びてるシャワーの音を聞きながら、なんとか、今の自分を、笑いにかえようとするけど、笑えない自分がいて、焦ってきた。
(だーーーっ……助けて、智くん……)
ふわりとした笑顔の智くんが脳裏をよぎる。
好きな人とつながることは幸せなことって、言い切ってた。
強いあの目をおもいだす。
(幸せなんだろうけど……ダメだ、やっぱり緊張する……)
口から心臓がでてきそうだ。
しまいには、潤の熱がぶり返してくれないか、などと、不謹慎なことまで考え始めてしまったから、気がつかなかった。
真後ろに、潤が立ってたことに。
「翔くん?」
「わっ!」
飛びあがって振り向いた。
素肌に白いシャツをひっかけて、タオルを首にかけた潤が、怪訝な顔をして、こちらをみてる。
「どうしたの?」
「いや、……いや、なんでもない」
そんな俺の様子に、潤はくすっと笑って、何か飲んだ?と聞いてきた。
ちっくしょー……余裕じゃねえか。
「なにも」
「水でいい?」
冷蔵庫から出したボトルを投げてよこしてきたのをキャッチして、サンキュと礼をいう。
なんか悔しい……。
昨夜、弱りまくっていた潤と、完全に立場が逆転してる。
俺の様子を見て、面白がってる感じもするのは、被害妄想だろうか。
