テキストサイズ

キラキラ

第28章 🌟🌟🌟🌠


「わー!サトコ様ー!お久しぶりですー!」


城内に戻ってきた俺たちを見つけるやいなや、テンションがいっきにあがった俺の妹、ユーリが、猛然と走ってきてサトコ様に飛びついた。

サトコ様はびっくりしながらも、ユーリを受け止め、穏やかに微笑んでみせた。
それはまるで、お転婆な妹と、それを見守るしっかりものの姉のよう。


俺はニコニコしてそんな二人を見つめた。


ユーリは、もともと、サトコ様が大好きだ。

兄上より姉上がほしかった、なんてのは、もはや口癖で。

何よりも、お茶目で綺麗なサトコ様は、ユーリにとって、ドストライクな女性なんだそうだ。

あいつの理想の女性なんだってさ。


サトコ様はユーリをぎゅっと抱き締めて、懐かしそうに声をかけてくださってる。

もう、ユーリのお尻に、ぶんぶん振ってる尻尾が見えるかのようだ。



「……元気でしたか?ユーリ」

「はい!…サトコ様いついらっしゃったんですか?」

「ついさっきです。お届けものにまいりました。先程お妃様にご挨拶してきたところです」

「うそー、嬉しい!」


ユーリが跳び跳ねて喜んでる。


「ね、サトコ様!私の部屋に来てくださいな?」

「え?」


唐突なユーリのお願いに、サトコ様は笑みを浮かべたまま、わずかに視線をこちらに向けた。


「…………」


ミヤさんは、黙って俺の少し後ろに静かに佇んでいる。


俺は、サトコ様の視線の意味をじっと考えた。


ミヤさんを連れていこうとしたのかな?
でも、ミヤさんは、女性の部屋には入れないよね、さすがに。
ってことは、お一人で、ユーリと……


……おや。まてよ。
じゃ、ミヤさんはここで留守番?!


……これは、ミヤさんを一人にするチャンス!!


俺は、すかさず提案した。


「ユーリ。この間、ショウちゃんにもらった異国の画集があったろ?あれをサトコ様にお見せしたら?」

「うん!」

「おまえが、今気に入ってるお茶も、お出ししてあげなよ」


追いうちをかけるように、俺が促すと、ユーリはそーする!と、頷き、喜んだ。


「行きましょ、サトコ様」

「……じゃあ……行ってまいります」


サトコ様はにこやかに、俺らに向き直り、お辞儀をしてみせた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ