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キラキラ

第28章 🌟🌟🌟🌠



「すみません、ミヤをしばらくよろしいですか」


俺とダイゴをかわるがわる見て、姫が可愛らしく小首を傾げた。


「大丈夫ですよ」


にこにことダイゴが答えた。
俺もうんうん、と頷く。

だが、俺のもつ下心を見破るかのように、姫がユーリにはわからないように、俺を見る目を、すっと鋭くした。


それはまるで、ミヤさんに触れたら殺す、と言われているかのよう。


でも、俺にとっちゃ、どんなに凄まれたところで、姫も可愛い女の子なわけだから、全く怖くなんかないんだよね。


俺は、余裕の笑みで、いろんな意味を込めて、

「ごゆっくり」

と、言った。


後ろ髪をひかれる思いなのだろうが、そこは完璧な姫様。

テンション高いユーリにあわせてくださり、楽しそうに廊下の向こうに消えられて。


あとに残されたのは、安堵のため息をはくダイゴと、無表情で佇むミヤさんと。

無駄にドキドキしている俺だった。


……どーしよ。
これ、すげーチャンス!
ミヤさんがお一人だぞ!!


ひそかに心でガッツポーズを繰り出し、興奮していたら、ミヤさんが淡々とした口調で、事務的に切り出した。



「……マサキ様」

「……な、なに?」

「どこか待機できるお部屋をお借りできませんか」

「え…」

「サトコ様のお帰りを待たせていただきたいのですが」

「………」



…俺と過ごすっていう選択肢は、あなたにはないわけね。

まあ真面目なミヤさんだからしょうがないか。


だけど、こんなチャンス、もう二度とないだろうから、俺は無駄にする気はないぞ。


「ねえ、ミヤさん。俺の部屋にきませんか。見せたいものがあるんですが」

「……それは」


口ごもったミヤさんに、横からダイゴの絶妙な後押しが入った。


「………ミヤさん。実は私も今から所用で出かけねばならず、マサキ様の面倒をみてくださったらとても助かるのですが」


ナイス!ダイゴ!!
あとで、褒美をとらせる!


俺が内心小躍りしていたら、ミヤさんは、困ったように、うつむいた。


「でも…」

「少しだけです。サトコ様がお戻りになる前に、この場所にいたらいいでしょう?」

「ジュン様にいただいた美味しい紅茶をお入れしますよ」


だめ押しのように二人でたたみかけたら。

ミヤさんは、


「…じゃあ、少しだけ」


と、頷いた。

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