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キラキラ

第28章 🌟🌟🌟🌠


「どうぞ座ってください」


ソファをすすめたら、ミヤさんは、ありがとうございます、と遠慮がちに座った。


今日のミヤさんは上品なシルクのシャツに、茶色のベストを身につけていて、それがとてもよく似合ってる。
立ち居ふるまいも完璧で。

いったいどこの国の王子だ?と、みまごうほどだ。


ほんと、付き人なんかしてるのもったいないんだよなぁ……。


広い部屋には二人っきり。
ダイゴは、紅茶を入れたら、気をきかせたのか、ほんとにどこかに行ってしまった。


だからなのか、ミヤさんは、なんだか落ち着かないといったように、髪を触ったり、辺りを見回したりしてる。

いつも冷静沈着なミヤさんなだけに、そんな仕草はとても新鮮で可愛らしい。



「……ずーっと見てられるなぁ……」

「え?」

「いえ、なんでもないです」



心の声がポロリと出て、俺は慌てて手を振った。
ミヤさんは、くすっと笑い、……いただきます、とティーカップを手にとった。
俺もほのかに湯気のたつそれに手を伸ばす。

ジュンが、この間訪れたという国で購入した、という茶葉。
いつものお茶とは少しテイストがちがう代物だ。
何より香りがいい。



「あ……おいしい」

「でしょ。ジュンが一押しだって言ってました」

「……スパイシーですね」

「ジンジャーです。体がぽかぽか暖まるそうですよ」

「へぇ……」



コクりと喉を鳴らしてお茶を味わうミヤさん。
口角のあがった口元が、くううっ……可愛いぞっ。


俺が内心身悶えていたら、ミヤさんが、にこりとこちらに向き直った。



「で、わたしに見せたいものとは……?」

「え」


一瞬ぽかんとしたあと、さっき自分が言った台詞を思い出した。

見せたいものがあるって誘ったよな、俺……。


しまった。
なんも考えてなかった。


ミヤさんを誘いたい一心で口からでまかせを言ってしまったのを思い出す。


「えっと……えっとね」


慌てて立ちあがり、脳みそをフル回転。


落ち着け、なんかあるだろ。




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