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キラキラ

第28章 🌟🌟🌟🌠


二人でソファから立ち上がる。


穏やかに俺を見上げるミヤさんの茶色の瞳はすごく澄んでて、吸い込まれそう。
だけど、何の疑いのないその色に、邪な心を読まれそうで、戸惑う。

俺と二人きりで会うなんて、サトコ様が知ったら間違いなく反対されただろう。

だけど、ミヤさんがこうやって俺の部屋にきてくれたのは、ひとえに俺を信じているから。

だいたい、サトコ様の前でミヤさんを口説くのと、いない場所で口説くのとは、意味合いも重さも違う。

そして、ミヤさんは、サトコ様のいない場所で、そんなことは俺はしないと思ってる。

だからでしょ……?
だから、部屋まで来てくれたんだよね。

……参ったね。
その思い、裏切れないじゃんか。

あわよくば、抱き締めたい、なんて思ってたけど、できないじゃん。

ミヤさんの瞳を見ながらそんなことを考えていたら、ミヤさんの眉が怪訝そうにひそめられた。


「マサキ様?」

「……え、なに?」

「あの……わたしは、さきほどの広間に戻りますが、よろしいですか?」

「え、いやいや。俺も行くよ。腹へったね。なんか持ってこさせるね」

「いえ……おきづかいなく」


俺たちは、笑いあって、並んで部屋をでた。

ミヤさんから、ふわりと香る優しい匂いに胸が苦しかった。




しばらくして。

ユーリとサトコ様が楽しそうに広間に帰ってきた。

近年まれに見る、ユーリの満面の笑みに、とても嬉しかったんだな、ということがうかがえて、思わず声をかけた。



「良かったな、ユーリ」

「うん。今度のパーティーで着るドレスもサトコ様に見てもらったよ!」


弾んだ声。
その横で、サトコ様が、微笑んでる。
俺は、サトコ様に向き直り、礼を言った。


「ありがとうございました。ユーリにつきあっていただいて」

「いいえ。とっても楽しかったです」


にこやかに言ったサトコ様。
その目が、俺をとらえると、すっと鋭くなった。


……ミヤに何もしてないよな?


そう言われてるみたいで、俺は苦笑いして頷いた。
サトコ様は複雑な顔をして黙ったあと。
……ふいと目をそらした。

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