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キラキラ

第29章 バースト7


バンっという音がしたと思う。


「ぅおっ……」


凄まじい勢いで、潤のチカラが解放されてゆく。
目には見えないが、感覚で分かるこの気の流れ。

感情の振り幅をしくじると、大暴走する潤の瞬間移動の能力だ。


おなじみっちゃ、おなじみだけど。
いかんせん、シチュエーションがやばすぎる。

俺、タオル一枚。
潤、マッパ。

……こんな格好で跳ぶわけにゃいかん!!!



「ちょっ……こら!潤!!」


慌てて顔をのぞきこむが、固く目を閉じ、真っ赤になって俺にしがみついてる。


真っ裸で俺に抱きしめられてるところを、智兄に見られたとあっちゃ……消えたいとすら思っててもおかしくない。


「……部屋戻りな」


あわあわしてる俺を見て、冷静に智兄に促され、俺は能力を使って、慌ててさっきまで愛し合っていたベッドに、二人でふわりと飛び込んだ。


「潤……おい、しっかりしろって」


そうして自分のチカラを注ぎながら、ぎゅっと潤の体を抱きしめた。
燃えるように熱い体から、とめどなくチカラが放出されてる。


……放出しきったら。


そんな怖い考えが頭をよぎるが、俺は懸命にそれを打ち消し、潤に呼びかけ続けた。


「潤……潤、跳ぶな」

「……わかっ……てる」


小さな返事に、ホッとしながら、抱き締める腕に力をこめた。


「……の、割りに、すげー勢いで、能力解放してっけど?」

「……とめるよ…すぐに……」


我にかえったのか、わりとしっかりした口調で、潤が再び小さく返事をした。

初期の頃にくらべ、たいぶコントロールがきいてきた潤のチカラ。

時折暴走しかけることもあっても、小さなものならば、自分の力でなんとかすることもできるようになってきたという。


でも、ちなみに、これはヤバイやつ。


爆発音まできこえるのは、リミッターが、完全に弾けとんだ証拠。
過去、何回かその現場に居合わせたが、いずれも俺の助けなしではおさめられず、なんとかおさまったあとは、確か、気を失うように眠ってしまったはずだ。


「……潤」

「……あ……も少し……」


コンコンとわき出てくるチカラの勢いが、しぼられはじめた。

苦しげに顔を伏せる潤の背中をさすり、助けになれば、と俺のチカラも流し込み続けた。

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