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キラキラ

第29章 バースト7


Jun



ふっと目が覚めた。

一瞬自分の置かれてる状況が分からずに、何度か瞬きをする。

自分のベッドではないことに気づき、周りの景色と大好きな香りに、記憶が徐々に蘇った。


翔に抱きしめられて、跳ぶなって、言い聞かされて。
なんとかチカラを収めれたまでは覚えてるんだけど……。


そっか……俺、またやっちゃったんだ。


一度暴走してしまうと、そこから全くポンコツ状態になってしまうから、ここ最近は注意深くしてたはずなんだけど。
ひさびさに失敗した。


体中が痛くて、頭も重たい。


「……って」


小さく呻いて起き上がった。

隣に寝ていたであろう翔の温もりなどの痕跡はすでになく、彼が起きてからだいぶ時間がたっているのだろうと推察する。

そしてそれを裏付けるように、遠くで話し声がするのに気づいた。

リビングに、みんないるのだろう。

何時だろう。と、時計をみたら10時をまわっていた。


……10時。


だが、カーテンの外は明るい。
翔と抱き合っていたのは確か夕方……。


「……え?!」


これ、昼の10時!?


慌てて、ベッドから降りた。
ふらつく足取りを気合いでただし、リビングのドアをそっと開ける。


「……あの」

「あ、おはよう」


近くにいた、かずが気づいて声をかけてくれる。
その向こうで、ソファーに座っていた智さんがこちらを見た。

穏やかな眼差し。


……そうだ、俺、昨日智さんにとんだ姿を見られたはず……


どぎまぎしていたら、智さんは、


「体は大丈夫か」


と、聞いてきた。


「あの……はい。すみません、俺だけずっと寝てて」


泊まらせてもらってるくせに、最後までグーグー寝てるとかありえねーし……。

ちょっとへこんでたら、その気持ちを察してくれたのか、智さんは、にこりと微笑んだ。

「久しぶりの大暴走だったみたいだから、回復にも時間がかかったんだろうね」

「……そ、ですかね……」

「ほら、潤。とりあえずなんか飲め」

傍らから、翔がレモンをいれた水を差し出してくれた。

とたんに喉の乾きを思いだす。

「ありがと……」

と、受け取ったら、翔が俺の頭をポンポンとしてくれた。

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