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キラキラ

第29章 バースト7


ところが。

艶のある声が、ほんの少しずつ変化してきたことに気づく。
おや、と思っていたのも束の間。


「翔……翔ぉ……」


か細い声で、名を呼ばれ、行為を中断して体を起こせば、手を伸ばした潤に引き寄せられた。


「……どした?」

「……顔が見えないのが………やだ」


潤んだ瞳で、訴えられて、それが恥ずかしいことが理由なだけではないことに気づく。

多分……不安なんだ。

自分の体に触れているのが誰なのか。

感覚だけでは、まだ忌まわしい記憶と混同させてしまうのかもしれない。

俺は、ごめん、と呟いて、潤の少し開いた唇に自分のそれを重ねた。

体の負担の少ないように、と考えていたけど。
心の方も手薄になってちゃいけない。


俺は殊更にゆっくりとキスしてやった。
自分の想いが伝わるように。
自分の存在を感じられるように。

キスをしながら、あいた手で、潤のものをゆっくりと上下に擦る。
すると、苦しそうにしていた潤が、再び甘い声で名を呼び出した。


「……はぁっ…しょぉ……んん」


チュクチュクと絡まる舌。
快感を全身で訴え始めた潤は、上気した頬で言った。


「……このまま挿入れて……」


足を大きく開いて、腰を押しつけてくる。

求められるがままに、俺は頷き、潤の足を持ち上げて、自分の塊をゆっくりと潤の後孔にあてがった。


「……力抜いとけよ」

「……ん」


そして、そっとそっと腰を進めた。
少しでも痛みが少ないように。
傷に響かないように。


「…………っ」


俺の肩に触れる潤の手に力がこもった。

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