キラキラ
第29章 バースト7
Jun
ちょーだるい物理の授業。
しかも六時間目ときた。
当然のことながら、窓際の席である俺は、そよそよと吹く風をうけながら、閉じた教科書に頭を乗せて、気持ちよく眠っていた。
昨晩は、少々遅かったが、空から無事帰宅。
翔と気持ちを確かめあうことができた俺は、夜もぐっすり眠ることができた。
ウツミらにされたことは、許すことはできない。
だが、忘れたいとは言ったものの、幸か不幸か、酔っぱらっていたため、あの料理屋での出来事を、はっきり覚えてるわけではないのだ。
感覚的に……ものすごく嫌だったことだけ。
……いいよ。そのままくわしく思い出さなくていい。俺とのセックスだけ覚えとけ。
翔にささやかれ、何度も何度も愛し愛されて。
それこそ、へとへとになるまで揺さぶられた。
だから、一晩たっても体はあちこち痛いけれど。
特に座るのは辛いけれど。
今日は、幸せで、自然と口角があがってしまっていた俺だ。
風を顔にうけながら、午後の陽射しを存分に浴びる。
うつらうつらするのが気持ちいい。
良くも悪くも生徒に無関心な担当教師は、淡々と授業を進めている。
抑揚のない口調は、俺には最早子守唄だ。
なので、ふわふわしていた俺が、我に返ったのは、授業が終わってガタガタと他の生徒たちが机を動かす音であった。
「いっそ気持ちいいくらい寝てたな」
隣の席のやつが、あきれたように笑うから、お愛想で笑い返した。
「聞いてもわかんねー授業は、聞かない主義」
さあ……帰ろ。
思いながら、何気なく外に目をむけて。
「……っ!」
ガタッと思わずたちあがった。
「……松本?」
怪訝な目を向けられ、あ……いや……と、誤魔化しながらもう一度着席するが。
ここから見える校門の真ん前のフェンスによりかかって、本を読んでいる……すらりとした体型の青年。
俯いてるから顔は見えないが、俺が間違うはずはない。
なんで、こんなとこに……!?