
キラキラ
第30章 hungry 2
雅紀が、二人の話を、どうまとめたのかは分からない。
だが、練習再開後、雅紀は松岡に希望をだし、一年対二年で紅白戦を始め、わざと森田と二宮を同じチームに起用した。
もちろんこの二人の相手は、俺ら。
一切手を抜かないで、あいつら叩きのめすつもりで、と雅紀に指示された俺らは、容赦なかった。
俺も、ガンガン飛び込んでいってやったし。
からだの小さいあいつらを、吹っ飛ばす勢いで、
全員が動いた。
何より、雅紀の目が本気だったから、俺も超本気だった。
雅紀の動きを察知するための神経を最大限に研ぎ澄まして。
俺らは、得点を積み上げ、快勝した。
「……どうした?」
部活を終え、校門をでて、少し歩いたところで、足をとめた雅紀に気づき、振り返る。
雅紀は、うーん……という、なんだか歯切れの悪い返事をしながら、学校を振り返った。
そして、何かを考えるようにしながら、俺を見た。
「……ごめん。翔ちゃん先に帰ってて」
「……忘れ物でもしたのか?」
「うん、まあ……」
「…………分かった。またな」
「うん、またね」
手を振って歩き出す。
しばらく行って、そっと振り返れば、雅紀はマフラーに顔を埋め、道路端の死角に佇んでいた。
……二宮を待つのだろう。
今日のフォローかな。
俺は、くすっと笑って、足早に駅に向かった。
雅紀が、二宮をことのほか可愛がっていることは知っている。
なんなら、ちょっと危ないくらいに溺愛してるといっても過言じゃないんじゃねーかな。
周りには隠してるようにしてるけど、分かるやつには分かる。
大体にして、俺は自分の大野さんへの想いに気づいた辺りから、恋をしている顔というものに、だいぶ敏感になっていて。
ありゃあ……マジだよな
雅紀というより。二宮だ。
あいつは、絶対雅紀のことを好きだと思う。
時々、すごい分かりやすい目で、雅紀のことを目で追っている。
自分も、大野さんのことをこんな目でみてるんだろうか、もしそうだとしたら、バレバレじゃねーか……って。
反面教師にしたりしてんだ。
