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キラキラ

第30章 hungry 2


*******

「で、櫻井は、平均点大丈夫だったの?」

「はい。バッチリ!」


だって、トップの座を再更新だもんね。

グッと親指を立ててみせたら、大野さんは、ふふ、と笑った。





期末試験が終わり。
蓋をあけてみたら、スタメンに選ばれた全員、セーフだったから一安心。

でも、二宮の英語は余裕だったらしいが、雅紀の数学はギリギリだったらしい。


テストが終わった直後、松岡に、主将が心配だな、とか言われて、雅紀と二人で苦笑いした。

マジで基本からのやり直しだったから、俺も不安だ、と伝えたら、雅紀は、

「翔ちゃんに見てもらったんだから、大丈夫」

と、しれっと言うので、笑ってしまった。


この天真爛漫なところが、こいつのいいところだよな。


結果、なんとかすべりこみセーフ。
言うだけのことはある。

……ひとまず、結果が出揃い、1人の脱落者もなく。
あとは、スタメン含め、全員で新人戦にむけて一致団結のみだった。





「んー……やっぱ軽いのがいーよね……」


手にしていたバッシュを持ち上げて、首を傾げてから、大野さんは別の商品を手にした。


待ちに待った二回目のデート(自称)


品揃え豊富なスポーツ用品店で、俺のバッシュを一緒に選んでくれてるという、ウソみたいな状況だ。

俺の心臓は、嬉しいやら緊張やらで、さっきからずっと暴れっぱなし。


俺の目線より少し下にある頭が、時折かしげられる仕草が、たまらなく可愛い。

……てか。俺、だんだん危ないやつになってきてる……?


「あ、これ軽いよ」


大野さんの言葉に、はっと、我に返る。


大野さんは赤の派手なバッシュを手にして、ほらほら、と嬉しそうに見せてくれる。

はい、と渡されて、大野さんの細くて長い指が俺の指に触れ、俺の心臓はまたもや急加速した。


息苦しい……
……いや、女子か、俺は!


取り繕うように、俺も考える素振りをみせる。


「ほんとだ……」

「ね」

「でも……ちょっと派手じゃないですか?」


若者に人気のブランド。
黒と赤のコンビで、横に大きなロゴが入ってる、お洒落なものだ。


「そうかなあ……櫻井って、赤が似合うと思うよ?」

「え?ほんとですか?」

「うん」


それか……こっちかなぁ、と真っ黒に赤いラインが入ってるものを差し出される。

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