
キラキラ
第30章 hungry 2
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「で、櫻井は、平均点大丈夫だったの?」
「はい。バッチリ!」
だって、トップの座を再更新だもんね。
グッと親指を立ててみせたら、大野さんは、ふふ、と笑った。
期末試験が終わり。
蓋をあけてみたら、スタメンに選ばれた全員、セーフだったから一安心。
でも、二宮の英語は余裕だったらしいが、雅紀の数学はギリギリだったらしい。
テストが終わった直後、松岡に、主将が心配だな、とか言われて、雅紀と二人で苦笑いした。
マジで基本からのやり直しだったから、俺も不安だ、と伝えたら、雅紀は、
「翔ちゃんに見てもらったんだから、大丈夫」
と、しれっと言うので、笑ってしまった。
この天真爛漫なところが、こいつのいいところだよな。
結果、なんとかすべりこみセーフ。
言うだけのことはある。
……ひとまず、結果が出揃い、1人の脱落者もなく。
あとは、スタメン含め、全員で新人戦にむけて一致団結のみだった。
「んー……やっぱ軽いのがいーよね……」
手にしていたバッシュを持ち上げて、首を傾げてから、大野さんは別の商品を手にした。
待ちに待った二回目のデート(自称)
品揃え豊富なスポーツ用品店で、俺のバッシュを一緒に選んでくれてるという、ウソみたいな状況だ。
俺の心臓は、嬉しいやら緊張やらで、さっきからずっと暴れっぱなし。
俺の目線より少し下にある頭が、時折かしげられる仕草が、たまらなく可愛い。
……てか。俺、だんだん危ないやつになってきてる……?
「あ、これ軽いよ」
大野さんの言葉に、はっと、我に返る。
大野さんは赤の派手なバッシュを手にして、ほらほら、と嬉しそうに見せてくれる。
はい、と渡されて、大野さんの細くて長い指が俺の指に触れ、俺の心臓はまたもや急加速した。
息苦しい……
……いや、女子か、俺は!
取り繕うように、俺も考える素振りをみせる。
「ほんとだ……」
「ね」
「でも……ちょっと派手じゃないですか?」
若者に人気のブランド。
黒と赤のコンビで、横に大きなロゴが入ってる、お洒落なものだ。
「そうかなあ……櫻井って、赤が似合うと思うよ?」
「え?ほんとですか?」
「うん」
それか……こっちかなぁ、と真っ黒に赤いラインが入ってるものを差し出される。
