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キラキラ

第30章 hungry 2


呆然とする俺に、大野さんがつづける。


「俺ね、基本あんま人に興味ないの。長続きしない理由も実はそこかもしれないんだけど……」


はい……と聞きながらも、ドキドキしすぎてあまり頭が働かない。

大野さん。
今……俺を好きかも……って言った?


「せっかく俺に興味もってくれたから……って、今まで男女問わずつきあってきたけど。自分から他人に興味持ったの……櫻井が初めてなんだ」


俺は、再び泣きそうになりながら、大野さんの一言一言を噛み締めるように聞いて、頷いた。


「櫻井に好きだと、言われて嬉しかった。だから、中途半端な状況で返事したくなくて。合格決まったら、俺の想いを伝えようと思ってた」


窓から差し込む光が、穏やかに大野さんの姿を縁取る。
透き通るような肌が、キラキラした瞳が、俺を見つめる。

俺は、コクリと唾を飲み込んだ。


ならば。

答えは。



「じゃあ……」

「うん。俺でいいなら……櫻井のそばにいたい」

「……っ」



世界中の時が止まった気がした。

この瞬間の気持ちをどう表現したらいい!?

松潤!!
さよなら逆転スリーランだ!!!


俺は、息をするのも忘れて、大野さんを見つめて、固まってしまった。



「……櫻井?」

「大……野さん」

「うん?」

「大野さん……」

「ふふ……なに?」

「ほんとに……?」

「(笑)……うん」



体が震える。

夢で終わる話だと思っていた。




「あ、また泣くの?」

「……泣いてませんし!」

「うっそ。ボロボロじゃん」

「汗ですから!」

「何年前の言い訳?(笑)」


からかってくる大野さんも、緊張がとけたせいなのか、いつになく饒舌だった。

俺は、鼻をすすり、思いきってベッドからおりて、え?……という顔をしてる大野さんをぎゅっと抱き寄せた。



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