
キラキラ
第30章 hungry 2
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大野さんを始めとする先輩方の卒業式の日は、朝から快晴であった。
凛とした厳粛なムードの体育館。
壇上で一人ずつ卒業証書をもらう三年生を、俺らは在校生の席で見守った。
スラリとした体で、壇上を進むのは、井ノ原先輩。
国公立の大学進学が決まり、受験勉強のせいで中断してたバスケを、ようやく再開できると、喜んでいた。
いつもいつも、俺らバスケ部のことを第一に考えてくれた優しい主将。
笑顔でおちゃらけているようで、実は誰よりも熱く、厳しい。
先輩のボールさばき……すごかったなぁ。
そのあと壇上を進むのは、小柄な男前。
岡田先輩だ。
井ノ原先輩とのコンビプレーが目に焼き付いてる。
どんなパスでも、それを受けきっちりと得点を稼いでゆく点取り屋。
あれだけのテクニックをもつ人材は、今のところ現バスケ部にはいない。
井ノ原先輩と並んで、部を支え続けてくれた副主将。
……お世話になりました。
胸がいっぱいになりながら、偉大な先輩方の姿を目に焼きつけた。
それから、何クラスかを経て……大事な人が校長から証書をもらうのを見た。
大野さん。
あの日。
保健室で、初めてキスを交わしたあの日から、俺らは、所謂恋人同士となったわけで。
今までより、少しLINEの頻度が増え。
電話をすることが増え。
俺がヨシノさんの店に行くことが増え。
恋愛御法度な部活故に、毎日デレデレする気持ちを押さえるのに苦労した。
あの人が、俺の恋人だなんて、いまだに信じられないもんなぁ。
大野さんが、すました表情で壇上からおりてゆく。
彼の、ふんわりとした笑顔をいつまでも見続けたい。
これからも、ずっと……隣にいたい。
割れるような拍手のなか、在校生が作る花道を卒業生が退場してゆく。
ああ……本当にこの人たち、この学校から、いなくなってしまうんだ。
今までのことを思い出しながら、泣きそうになるのを飲み込んで、拍手をしてると、
「なんか……なんか感動するね」
雅紀が隣で、ぐすっと目を潤ませていた。
「そうだな……」
ふふっとうなずいて、雅紀とずっとずっと手が痛くなるまで、拍手を続けた。
大野さんを始めとする先輩方の卒業式の日は、朝から快晴であった。
凛とした厳粛なムードの体育館。
壇上で一人ずつ卒業証書をもらう三年生を、俺らは在校生の席で見守った。
スラリとした体で、壇上を進むのは、井ノ原先輩。
国公立の大学進学が決まり、受験勉強のせいで中断してたバスケを、ようやく再開できると、喜んでいた。
いつもいつも、俺らバスケ部のことを第一に考えてくれた優しい主将。
笑顔でおちゃらけているようで、実は誰よりも熱く、厳しい。
先輩のボールさばき……すごかったなぁ。
そのあと壇上を進むのは、小柄な男前。
岡田先輩だ。
井ノ原先輩とのコンビプレーが目に焼き付いてる。
どんなパスでも、それを受けきっちりと得点を稼いでゆく点取り屋。
あれだけのテクニックをもつ人材は、今のところ現バスケ部にはいない。
井ノ原先輩と並んで、部を支え続けてくれた副主将。
……お世話になりました。
胸がいっぱいになりながら、偉大な先輩方の姿を目に焼きつけた。
それから、何クラスかを経て……大事な人が校長から証書をもらうのを見た。
大野さん。
あの日。
保健室で、初めてキスを交わしたあの日から、俺らは、所謂恋人同士となったわけで。
今までより、少しLINEの頻度が増え。
電話をすることが増え。
俺がヨシノさんの店に行くことが増え。
恋愛御法度な部活故に、毎日デレデレする気持ちを押さえるのに苦労した。
あの人が、俺の恋人だなんて、いまだに信じられないもんなぁ。
大野さんが、すました表情で壇上からおりてゆく。
彼の、ふんわりとした笑顔をいつまでも見続けたい。
これからも、ずっと……隣にいたい。
割れるような拍手のなか、在校生が作る花道を卒業生が退場してゆく。
ああ……本当にこの人たち、この学校から、いなくなってしまうんだ。
今までのことを思い出しながら、泣きそうになるのを飲み込んで、拍手をしてると、
「なんか……なんか感動するね」
雅紀が隣で、ぐすっと目を潤ませていた。
「そうだな……」
ふふっとうなずいて、雅紀とずっとずっと手が痛くなるまで、拍手を続けた。
