キラキラ
第30章 hungry 2
一瞬頭が真っ白になって。
コンマ何秒後かに、その言葉を理解して、今度はかあっと体が熱くなった。
顔まで真っ赤になったであろう俺は、
「余計なお世話だっ」
と、怒鳴る。
すると、松潤は、ウブだねぇ……と涼しい顔になった。
「健全な男子高校生が考えることなんかひとつだろ。逆に、大野がナニしたいって言ったら……お前どーすんの」
「……さ……智はそんなこと……」
「お。智って呼んでんの?」
「……っ……大野さんは!そんなこと言わねぇ!」
やけくそで、怒鳴ったら、松潤は、ケラケラとお腹を抱えて笑った。
俺は、暴れまわる心臓をおさえるのに必死だった。
だって、そんなこと考えてなかった。
キス以上のことをあの人としようなんて……だって、俺たちはまだコーコーセーで……。
いや……智は、大学生になるのか……。
じゃあ……大人だな……。
え……どっちが?
どっちがってなに?!
赤くなったり青くなったり、一人大騒ぎしていると、
「……まぁ、やり方が分からなかったら、俺が実践で教えてやるよ」
「…………」
はあっ?!
俺は、目玉が飛び出すかと思った。
なんつーこと言うんだ!こいつは!
セクハラだ、セクハラ!
「……教師だろーが、おまえ!」
「教師だからって、趣味嗜好まで、縛られるいわれはねぇよ」
「……生徒に何いってんだって話…………っつか、近づくな!」
「ネットでローションとゴムを買っておけよ?」
「こら、さわんな!」
「分かってる?ここ使うんだぜ……?」
ニヤニヤしながら松潤にケツを撫でられ、もう一度怒鳴ってやろうとした瞬間。
カーテンの隙間から、こちらを怯えたように見ている顔を発見し、息が止まった。
俺の表情に、松潤が振り返ったのと、
「……す……すみません!」
と、その人物が踵をかえして駆け出したのが同時だった。
遠くでバンっと扉が閉められ。
唖然とした松潤が、俺を見る。
「…………」
「……今のは?」
「二宮だ……」
「……じゃ、大丈夫だろ」
「……なわけあるかっ !!誤解解いてこねーと破滅だぞ!」
俺は、目眩を感じながら、体を起こした。
授業が、終わったら一年の教室行かなきゃ…!
頭をかきむしって、悪びれない松潤の顔を、キッと睨みあげた。