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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


…………?!?!


待って。待って!
なにこれ!?


まわりの風景がでかくて。
にのもでかくて。

そのにのに軽々抱き上げられてる俺はいったい……。

いや……俺が小さいのか……?


「収録に出てた子かな。逃げてきちゃった?」


茶色い目を優しく細めたにのに、あ、可愛い……と、見とれた瞬間、ちゅっとキスされた。


うわおぅっ!


……って、キスされたけど。
俺……


「ねぇ、相葉さん、この子迷子だよ。返してきた方がいいんじゃない?」


は?俺!迷子じゃねーし……っ


と、口に出そうとしたタイミングで、


「ほんとだ。どこから入り込んじゃったんだろーね」


のんびりした口調が返事をした。
思わずその声の方に視線をやり、俺は硬直した。


「こんな子いたかなぁ……?」


にっこりした顔で俺を見つめてきたのは。


お、お、お、…………俺!!?



目の前にいたのは、毎日、鏡でみているまんまの俺……だった。


え、なにこれドッペルゲンガーってやつ?
こわいこわいこわい!


目の前のおれは、さっきまで俺が着ていた私服のTシャツとジーンズを身につけていて。
にのと並んで、じーっと俺を見つめて優しい笑顔を浮かべていた。


え。ドッペルゲンガーみたら、死んじゃうっていうけど。
俺、死んじゃうの??!

焦ってじたばた動いたら、


「おお……元気だね、おまえ」


笑ったにのにふわりと抱き締められた。

にのに抱き締められるだなんて、めっったにない経験なんだけれどもさ。

俺……俺、夢でも見てるのかな?
これ、俺、人間じゃなくね?

いわゆる……ペットのような。

怖くなって、「どうしよう」と、呟いたら、俺の口から、


「クゥーン……」

と、犬みたいな鳴き声がでた。


「ははっ、甘えてる。可愛い」


そういってギュッと頬擦りされて、俺は目をパチパチと瞬かせた。


犬みたい、じゃない。


俺、犬になってる。

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