キラキラ
第31章 イチオクノ愛
何度も目が覚めた。
でも覚めるたびに真っ暗で、夜が明けてないことを知った。
テレビ局なんて眠らない建物だから、常にドアの外は人が行来してる気配はあるのだが、使われていない楽屋の中は、寂しいほどにしんとしている。
今、何時かな……
何度目かに目覚めたとき、時計を求めて顔をあげた。
そしてまだ真夜中だということを知り、心底がっかりした俺は、再びクッションに顔を埋めた。
どうして、こんなことになっているのだろう。
ホラー体験にしたって趣味が悪すぎる。
犬に変身だ?
偽物出没だ?
冗談じゃないっての。
本当だったら、昨夜は、にのと夕飯にでかけて。
次の日は、収録日なんだから、どっちかの部屋に泊まっていたはずだった。
と、そこで、俺ははたと気がついた。
……って、待てよ。
俺じゃない俺が、にのと出かけたよな?
てことは、俺がにのとするはずだったことを、そいつがしてるってことだよな?
飯を食って……風呂はいって……それから……
ひとつの行為を頭にうかべ。
うああああっ!!にのに触れたらあいつ絶対殺す!!
俺は、身悶えしながら、怒りに体を震わせた。
てか、あの偽物誰だよ?
なんだよ?
……俺の身に何が起こってんだよ……。
気持ちは焦るのに、状況がそれを許してくれない。
暗い楽屋でクッションに挟まった、犬が、いったい何ができる??
俺は、しょぼんとうつむいた。
腹へった……喉渇いた……
完全にエネルギー切れだった。
体に力が入らない。
目を閉じて、再び無理矢理……寝た。