キラキラ
第31章 イチオクノ愛
「収録始まるまでに、昨日のADに届けてきちゃおっか」
偽相葉が、俺を見つめて余計なことを言うから、俺は精一杯の可愛さでにのにすがり付いた。
クゥン……
黒目をキラキラさせて、にのの手をペロッと舐めた。
すると、にのはくすぐったそうに笑って、俺の頭を撫でた。
そして、ぼそっと、
「うん……でも……もうちょっと一緒に遊びたいかな……」
と、こんな可愛いことをいった!
よっしゃ!!
ゲーマーにのの興味をひけたことに俺は内心ガッツポーズだ。
偽相葉を見れば、仕方ないな、という顔をしてる。
ふんだ、ざまーみろ。
犬好きな、にのなめんなよ!
にのは、俺を抱っこして、顔を近づけながら、はた、と何かに気がついた表情になった。
「そーいや……おまえ、お腹すいてるだろ。子犬用のミルク買ってこないといけないかなぁ」
いやいや、そんなの欲しくない。
「マネージャーにお願いしよっかな」
いらねーわ!
おれは、慌ててテーブルの上にあるペットボトルに向かって体を伸ばした。
水……水でいいから!
あれでいいから!
「あ、そっか。水でいいか」
すると、話をきいていた松潤が、紙コップをチョキチョキ切って即席の小さなお皿を作ってくれて、そこに水を注いでくれた。
「にの、これでいい?」
さすがだよ、松潤!
昨日から飲まず食わずの俺は、ようやく水にありつけて、生き返った心地だった。
必死でペロペロ飲みこんで、ふと顔をあげると、いつの間に来たのか、ちょっと離れたところで、リーダーが朝ごはんがわりのパンをかじってる。
「あ、こら。どこ行くの」
にのの言葉を振り切り、俺は、目を輝かせて、リーダーの傍に走った。
そしてちょんとお座りして、ちょうだい、というように小首をかしげてみせる。
「……いるか?」
口をあけかけたリーダーが、その手のサンドイッチを差し出そうとしたから、にのが慌てて止めた。
「ダメダメ!子犬はそんなの食べれない」
食べれるんだな、これが。
俺はリーダーの傍らにあるもう一切れのサンドイッチにとびついて、がつがつ食べた。
うまい……コンビニのハムサンドうまい……!
「……食ってるけど?」
リーダーがのんびりと、手に持ってる残りのサンドイッチを、ぱくりと食べた。