キラキラ
第31章 イチオクノ愛
そんなことを思いながら、顔をあげて、車を確認しながら歩き回る。
でも、このだだっぴろい場所で。
たくさんの同じような車のあるなかで。
こんな小さな姿で、たった一台を探し当てようとするのは、至難の技だった。
だって、子犬からの目線だと、車がまるでそびえたつビルのよう。
どんな車か全体図が見えないから、記憶の中の車の色と、あとは勘でしか頼るものがないのだ。
にのの移動車は、確かシルバー……。わりと入り口に近いところにとめていたような気がするけれど……。
と、そこへゆっくりとしたスピードで目の前を通りすぎる一台の車。
ぴんときた。
これだ!!
遠ざかって行く車のリアシートにおさまるあの後ろ頭は、にのに間違いがなかった。
俺の視力なめんな!
俺は、全力で走り始めた。
鳴いたらつまみ出されると思ったから黙ってたけど、
キャンキャンキャン!!!
待って!待って!にの!!
全力で鳴いて、全力で走った…………が。
所詮は子犬。
相手は、自動車。
そんな文明の利器に、小さな生命体が叶うわけもなく。
「……どこからまぎれこんだんだ、君は」
ゼイゼイと息を切らせて、動けなくなった俺は、
気がついたら、制服のでっかい人に片手で抱き上げられ。
「現場の子かなぁ……」
「いや、誰か大御所の飼い犬かもしれんぞ」
「え、それじゃあ、警備室の方にまわしましょうか」
ガードマン同士で、俺をどうするか話し合ってる言葉を、俺はぐったりとしながら聞いていた。
くそう……こうなったら、他のメンバーに拾ってもらうか……。
車を一から探しなおしだ。
俺は、前にADくんの腕から脱出したときのように、このおっちゃんの腕を噛んで、ここから抜け出そうとチャンスをうかがいはじめた。
と、再び一台の車が、目の前を通り抜けようとした。
ガードマンさんたちが、お疲れ様です!と声をかけ、運転席で、片手をあげて微笑むのは……
松兄!!!
あ!と思って吠えようと思ったのと、助手席の影が動いて、あれ?と声をあげたのが同時だった。
でも、このだだっぴろい場所で。
たくさんの同じような車のあるなかで。
こんな小さな姿で、たった一台を探し当てようとするのは、至難の技だった。
だって、子犬からの目線だと、車がまるでそびえたつビルのよう。
どんな車か全体図が見えないから、記憶の中の車の色と、あとは勘でしか頼るものがないのだ。
にのの移動車は、確かシルバー……。わりと入り口に近いところにとめていたような気がするけれど……。
と、そこへゆっくりとしたスピードで目の前を通りすぎる一台の車。
ぴんときた。
これだ!!
遠ざかって行く車のリアシートにおさまるあの後ろ頭は、にのに間違いがなかった。
俺の視力なめんな!
俺は、全力で走り始めた。
鳴いたらつまみ出されると思ったから黙ってたけど、
キャンキャンキャン!!!
待って!待って!にの!!
全力で鳴いて、全力で走った…………が。
所詮は子犬。
相手は、自動車。
そんな文明の利器に、小さな生命体が叶うわけもなく。
「……どこからまぎれこんだんだ、君は」
ゼイゼイと息を切らせて、動けなくなった俺は、
気がついたら、制服のでっかい人に片手で抱き上げられ。
「現場の子かなぁ……」
「いや、誰か大御所の飼い犬かもしれんぞ」
「え、それじゃあ、警備室の方にまわしましょうか」
ガードマン同士で、俺をどうするか話し合ってる言葉を、俺はぐったりとしながら聞いていた。
くそう……こうなったら、他のメンバーに拾ってもらうか……。
車を一から探しなおしだ。
俺は、前にADくんの腕から脱出したときのように、このおっちゃんの腕を噛んで、ここから抜け出そうとチャンスをうかがいはじめた。
と、再び一台の車が、目の前を通り抜けようとした。
ガードマンさんたちが、お疲れ様です!と声をかけ、運転席で、片手をあげて微笑むのは……
松兄!!!
あ!と思って吠えようと思ったのと、助手席の影が動いて、あれ?と声をあげたのが同時だった。