キラキラ
第31章 イチオクノ愛
助手席からひょこっと顔をみせたのは、お気に入りのキャップをかぶり、運転席の松兄にひっつくようにしてこちらに身をのりだしてる……リーダー。
おお、リーダー!!
やった!助かった!!
思わぬ展開に、俺は嬉々としてブンブンちぎれそうなくらい尻尾を振って喜びを表現した。
地獄に仏ってまさしくこれ!
この場合、地獄に菩薩かな?
いや、どーでもいーや。
リーダー!!会いたかったよー!!
コーフン気味の俺をみつめ、リーダーは、確か……というように、小首を傾げた。
「その犬……にのが探してた子だと思う」
…………。
リーダーの言葉に、思わず胸がきゅうっとした。
……俺を探してくれてたんだ、にの。
そこへ、松兄が驚いたような声をあげた。
「え?これ、あいつの飼い犬!?」
「違う。迷子くん。でもにのに、すっごいなついててさ。にのもすげー可愛がってた。ほら、あいつ犬好きじゃん?」
「ふうん……ま、飼い犬じゃねえなら、俺らは関係ねえな」
あっさり言って、パワーウインドウを静かにあげはじめた松兄に、俺は目を剥いた。
えっ?!
ちょっとタンマ!!
待って!!
俺は、キャンキャンキャンと狂ったように鳴いた。
え?と、思わず手を止めた松兄を素早く確認して、昨日ADくんから逃げた時のように、ごめん!とつぶやき、ガードマンの手を思い切り噛んだ。
「いって!!」
その瞬間身をよじり、俺は、車のなかめがけて思い切りジャンプした。
犬ならできない技も俺ならできるぜ!
だって、必死だった。
このチャンス逃したら、今度こそ俺は路頭に迷う。
にのは既に行っちゃったし、偽相葉は、論外として。
残るのは、目の前のリーダーと、まだ局内にいるであろう翔ちゃんと、松潤。
でも翔ちゃんも松潤も、いつ出てくるかなんて分からないし、さっきのにのみたいに、つらーっと帰っちゃう可能性大だもん。
「おわっ!!」
松兄の、驚く声が至近距離で、した。
軽い衝撃とともに、松兄の膝の上に転がることに成功したことを感じた俺は、即座に身を立て直して、助手席のリーダーの足元に飛び込んだ。