キラキラ
第31章 イチオクノ愛
俺はそのままリーダーの足にぎゅうっとしがみついた。
離れない……ぜーったい離れないぞ!
「おーい……ちょっ……おまえ、こっちこい」
リーダーの手がのびてきて、俺を掴もうとするから、俺はその手から避けるようにリーダーのふくらはぎ側にまわったりして、そこから離れなかった。
「こらっ……」
「おい…智…できれば早く。後ろ車つまってきた」
「だって……!」
リーダーの手から逃れながら、あっちにこっちによけているうちに、松兄の車の後ろに、二、三台連なり始めたらしい。
ガードマンが、後ろを気にしながら、つかまえられましたか?と、遠慮がちに声をかけてくるのを聞きながら、俺は脅威の反射神経であっちにこっちに避け回った。
パパッと、クラクションが後ろから鳴らされる。
「智」
松兄の声に、苛立ちが混じる。
あ、松兄機嫌が悪くなってきた……と、思った瞬間、俺はリーダーの両足にガシッとつかまった。
「キャンっ!!!」
うわっ!と思った瞬間リーダーの手が俺を抱えあげた。
万事休す……!!
俺がぎゅうっと目をつぶった瞬間、すごいGで、リーダーごとシートに転がる。
松兄が舌打ちして急発進したせいだ。
「くそっ……後ろやべーわ」
バックミラーで、後ろの車に乗る人間が誰かを確認したのか、松兄がぼやいた。
これ以上モタモタできないと思ったのか。
リーダーが俺を抱きながら、おずおずと松兄に声をかける。
「後ろ誰?」
「大御所」
「ごめん……」
「しゃーねぇわ」
松兄はそのままウィンカーを出して、幹線道路の流れにのった。
「こら。おまえがチョロチョロ逃げまわるから」
そんな松兄を気にしつつ、リーダーが俺を持ち上げ、じっと目をあわせてきた。
その優しいタレ目は、困ったような色をしていて。
ごめんリーダー……でも、俺も危機的状況なんだもん……
俺も、じっとリーダーを見つめた。
松兄が、ちらりと俺たちを見て、眉をよせる。
「どーする、局に戻って預けてくるか」
「う……ん……」
……嫌だ。嫌だよ、リーダー……。
このまま一緒にいさせて?
俺が必死で目で訴えていたら、リーダーは、ちょっと考えて、松兄……と、呟いた。
「明日……こいつを、にのに渡すから、一晩だけ連れて帰っていい?」