キラキラ
第31章 イチオクノ愛
「子犬って何食うのかなー」
「え?なんかいった?」
ジュウジュウと肉を焼きながら、松兄が首をかしげると、テーブルにビールや箸を並べてたリーダーが、体をおこした。
それらの一連の行動や、やりとりがあまりにも自然で、まるで、夫婦みたいで面食らう。
…………特別な空気があるな、二人とも。
テーブルわきに、ちょんと寝そべってる俺は、普段あまりみることのない二人の様子に興味津々だ。
もちろん、にののことは気になるし、一刻も早くなんとかしなきゃとは思うけど、今ここで焦ってもどうにもならないし。
とりあえず、明日リーダーが、にのに会うって言ってるから、行動おこすのは明日と決めた。
なので、俺は二人を目下観察中なのだ。
投げ出した前足に頭をのせて、じっと見上げる。
……なんか。翔ちゃんと松潤みたいな匂いがするのは気のせいかな。
俺は、のそのそと歩いて、松兄の手元をのぞきこみに行くリーダーを目でおう。
俺とにのが、恋仲で。
翔ちゃんと、松潤も、つきあってて。
そんな事情をまるごと受け止め、メンバー内で中立の立場を保ってる彼。
困ったことがあったら自分たちだけで解決せずに、俺に言えよ、と。
にのと付き合い始めたころ、そう言われた。
翔ちゃんたちも言われたそうだ。
みんなで、解決しようって。
みんなで、共有しようって。
そのとき、そうみんなで決めたのはリーダーのおかげ。
だけど、この人にも実はいい人がいるんじゃないか、と俺は思ってる。
妙に男同士に理解があるし。
女の影がないわりに、時々なんだか妙な色気があるし。
でも、あのリーダーが自分のことを話すわけはなく。
そしてプライベートなリーダーをあんまり知らないことにも今更ながら気付いた。
だからなのか、こういう些細なやりとりですら、なんだか深読みしてしまうんだよね。
……いや、でも……まさかね。
松兄は……ノーマルでしょ。
悶々としながら、見つめてたら、リーダーが鼻をヒクヒクさせて、ふにゃっと笑った。
「いい匂い…それなあに?」
「チキンのソテー。つかさ、子犬って肉食えるのかよ?」
「大丈夫じゃない?こいつ朝、ハムサンド食ってたよ」
「ハムサンド?!」
「うん」
松兄が信じられない、というように俺を見下ろすから、俺はニコニコしてうん、と、うなずいて見せた。