キラキラ
第31章 イチオクノ愛
カタン……という音とともに、なんだか声がした気がして、目が覚めた。
ちょうどキッチン横で、寝ていた俺は、もぞっと起き上がって辺りを見回す。
煌々とついていた電気は消され、俺のまわりは真っ暗だけど、少し離れたリビング部分を、絞られたオレンジの光が照らしているのが、わかった。
そーいや……
記憶を巡らせば、以前松兄は、薄暗くして、お酒を飲みながら映画を観るのが好きだと言っていた気がする。
贅沢な1人映画館だっつって。
てことは、この薄暗さは、リーダーとなんか観てるのかな?
ちょっと寂しくなってた俺は、二人のそばに行こうと思って、ペタペタフローリングを歩いて、リビングに向かった。
「……ぁんっ」
そのとき、小さいけど、すごく艶やかな声がした。
俺は、ピタリと歩みをとめる。
……なに?
なんか……なんだか、色っぽい声がした。
アノときのような。
お色気シーン満載の映画観てるの?
……え、それとも、もしかして二人してエロビデオみてんの?この年で??
いやいや……それはないよな。高校生じゃあるまいし。
だって。いくら俺でも、にのと一緒には見ないもんな。
溜まらないもん。
愛しあってるし……。
もしかして、この人たち二人で各々処理すんの?
若干ズレた思考に囚われながら、俺は、なんだか興味がわいてきて、足音を忍ばせ、そのまま、そおっと近寄っていった。
二人でなにみてんの?
松兄の趣味なら人妻かな?
洋モノかな?
「んっ……んんぁ」
再び聞こえた艶かしい声。
…………でけー音で観てるんだな。
つか……やけにリアルな声なんだけど。
てか……女の声じゃ、なさそう……だけど。
最初に、感じた少しの違和感が、突如ありえない、ひとつの答えを導きだし、俺はドキドキしてきた。
しかも、耳にはいやに粘着質のある水音やら、ギシギシという……何か……そう家具がたてる音が同時に聞こえてきて、さらに、俺の予測を裏付けるかのように、
「……ぁっ……松兄………!」
喘ぐ吐息とともに、切羽詰まった……リーダーの声が聞こえてきた。