一途とは
第4章 ごめん。
授業も中盤に差し掛かると
山口tは授業報告ノートを書き始めた。
「問題集貸して」
真剣そうに、数ⅡBの問題集を取り
適当に、パラパラとページをめくっている
ちょっと右斜めに流されてる前髪が、にわかな風にゆれている
なんとも、細い髪のような気がした。
ここやっておいてーと、問題レベルBの数列を指摘すると、何もなかったかのように、また報告ノートを書き始めた
はいよーと何気ない返事を返し、やっていた。
が、なかなかなかなか分からない
…どう考えても全く分からないので、上目遣いに少し山口tを見てみると
左手の親指と人差し指で下唇を掴み、挟んでは離しての繰り返しをやったりして、一生懸命考えて書いていた。
変な癖だな、と思いながらも
それだけ一生懸命考えてノートを書いてくれている。そのことに、とてもありがたいような、一つ一つの仕草が愛しいような
愛しいような…。
そう、自分が感じていることに戸惑いながらも
そんな感情が産まれていた。