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第2章 Warp A×N
4年前。
俺がまだ、社会人2年目だった頃に
和也と出会った。
俺が通っていた居酒屋に入ってきた
新しいアルバイトさん。
和也への第一印象はそんなもんだった。
あと可愛いなとは思ったけど。
それだけだったのに、どんどん
惹かれていく自分に気が付いた。
決して愛想がいいほうではなかったけど、
一生懸命汗をかきながらジョッキを運ぶ姿。
「いらっしゃいませー」って、店に響く
少し高めの声。
猫背まで可愛く見えて。
1年間、猛アタックした。
そして1年後、和也から
「俺も好き…みたい。」って。
おかしいよね。もう別れてるのに。
こんなに鮮明にいろんなことを覚えてる。
出会いも、付き合いたてのあの空気も、
…別れたあとのひとりの部屋の寂しさも。
会いたいけど、会いたくない。
会ったら言ってしまいそうだから。
和也が出ていった時、
言えなかった言葉を。
「嫌いな訳ない。」
「ずっと一緒にいてほしい。」
そして、
今もまだ好きだって言葉も。
ずっとあの日を後悔してる。
なぜ追いかけなかったのか。
もっと大切に出来たんじゃないか。
…やり直せるんじゃないかって。