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第2章 Warp A×N




『うん。大丈夫だよ。』

『じゃあ、雅紀の仕事が終わったら
連絡ください。』


そんなメールのやり取りをして、
定時までまともに働ける訳がない。

そわそわして、落ち着きがなっていく。


まだ俺のこと、雅紀って呼んでくれるんだ。

付き合ってた頃と変わらないその呼び方に、
平常心を保てる訳がなかった。


よっぽと挙動不審だったらしい。

俺は課長に呼び出された、かと思ったら

「相葉くん。

今日は早退しなさい。」
「え?どうしてですか?」
「何か深刻そうな顔をしているし、
顔が赤いみたいだ。

体調が悪いんじゃないか?」


何か勘違いされてるらしい。

まさか、

「元カレから連絡が来てまして。」なんて
言えるわけもなく。


「あ、大丈夫です。すみません。」
「そうか、ならいいんだが…。」


少しは休んだらどうかと言われた。


確かに、俺は入社してから
まだ1度も有給を取ったことがない。

自分は不器用だから、休んでると
遅れてしまうっていうのもあるんたけど、

単純にこの仕事が好きだから。


それが、結果的に和也を
苦しめていたんだけど…。


今思えば、しょうもないことで喧嘩をした。

何でもっと思いやれなかったんだろう。

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