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第2章 Warp A×N





定時に仕事を切り上げた。
それも3年ぶりのこと。

和也と別れたあとは、
その淋しさを埋めるためにひたすら働いた。

居酒屋を辞めていた和也と
会う方法なんてなくて、その現実と
少しでも向き合いたくなかったから。


スーパーに寄って、いろいろ買った。

自分以外の誰かのために何かを買うのも
3年ぶりで。


和也と別れた後、彼女は作らなかった。

というよりも作れなかった。

言い寄ってくる人がいなかった訳じゃない。


ただ忘れらなかった。
ずっと好きだった。今でさえ。


家に着いたのは、7時だった。

家に着いて、急いで着替えて
ご飯の支度を始めた。

食べてくれるか、とか
そんなの分からなかったけど、
少しでも長くいてほしいから…。

滑稽だよね、きっと。


和也の好きだったハンバーグを作る。

気持ち悪がられるかもしれない。
元カレがハンバーグなんて作って待ってたら。


半分ほど作り終えた頃に、
和也にメールを入れた。


『家に着いたので、今からなら
いつでも家にいるよ。』


これだけを送るだけなのに、
かなりの時間がかかった。

自分でも分からないくらいに
とにかく必死だったんだ。



『あと30分くらいしたら、行きます。』


メールが来たのは10分後。

ハンバーグが出来上がる頃。

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