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第3章 あいわな A×N
こんな気持ちは初めてで。
この恋がいつ始まったのかは分からない。
気持ちに気が付いたのは本当に最近。
気が付いた時からが恋の始まりなら、
俺の片思い歴はそう長くはない。
「でも…好きだもん。」
相葉さんを好きな気持ちは、
きっと誰にも負けない。
ずっと一緒にいたんだから、
誰よりも相葉さんのことは知ってる。
誰よりも相葉さんのことを知ってて、
誰よりも好き。
「これで何で付き合ってないんだろ。」
当たり前だ。
好きなのは俺だけ何だから。
赤信号で車を止める。
何だか俺のこの気持ちにまで
ブレーキをかけられているみたいで、
少しだけ淋しくなった。
そんなことで少し沈んだ気持ちを
抱えたまま、相葉さんの家のインターホンを
鳴らす。
すると、3秒としないうちに、
「待ってたよー。入って。」
エントランスのドアが開く。
…待っててくれてたんだ、相葉さん。
こんなにすぐに返事があったってことは、
本当に待っててくれたんだよね?
「…ふふ。」
やっぱり俺は単純だ。
さっきまで沈んでた気持ちが、
今ので一気に浮上した。
「相葉さんの単純脳が移っちゃったかな…。」
でも、それでもいいか、もう。