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第3章 あいわな A×N
緩んだ顔を、パンっと叩いて引き締めて。
なるべく自然に。自然に…。
そう心の中で唱えて、部屋のインターホンを
鳴らしてみる。
やっぱりこっちの返事も早くて、
「はーい。鍵空いてるから。」って。
さっき落ち着けってあれだけ言ったのに、
心臓はバカみたいに跳ねる。
「お邪魔しまーす。」
「いらっしゃい、ニノ。」
仕事終わりだっていうのに、
飛びっきりの笑顔で迎えてくれる。
俺が急に約束を取り付けたのに、
それでも優しく迎えてくれる。
リビングに入れば、いい匂い。
「あ…。」
「ふふ。今日はねぇ…。」
「生姜焼き、でしょ?」
「分かるんだ。」
何回食べてると思ってるの。
むしろもう、俺の家庭の味は
相葉さんだったりするかも。
もうね。相葉さんの味付けが
好みになってる。
「ねぇ、お腹空いた。」
「じゃあご飯にしよっか。」
「もー、早くしてよ。」
「うん、ごめんね。」
こうやってすぐに謝っちゃうところ。
全然相葉さんは悪くないのにね。
すぐに謝るクセがある。
「ほら。温めたから持っていってー。」
「えー。」
「えー、じゃないよ。」
なんて言いながら、自分で
持ってきてるんだもん。
…可愛いなぁ、ほんと。