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第3章 あいわな A×N
ご飯も食べ終わって、
だけど皿を片付けずにお茶を飲む。
相葉さんは、食事が終わってすぐに
片付けて欲しくない派だ。
俺はそもそも片付けない。
相葉さんがしてくれるから。
少しぬるめのお茶を飲んでたら、
「何で俺っていい人できないのかな。」
そんなことを唐突に言い出した。
「何、急に。」
ドキッとしたのを隠せたのかは
分からないけど、でもあくまで平常心を
貫いて聞き返す。
こんな話、昔はたくさんしてた。
あんな子がタイプだ、とか、
お互いの彼女自慢だ、とか。
でもそれもいつしかしなくなった。
だから、こんな話を聞くのは久しぶりで。
「いや、だってニノはいつも
ご飯食べに来てくれるのに…。
俺って、いい男だよね?」
「何、俺だけじゃ不満な訳?」
「全然!不満な訳ない!
でもニノは…」
「友達、だもんね。メンバーだもんね。」
そうだ。
俺は相葉さんの彼女でもなんでもない。
そんな関係望めない。
会いたくて来たのに。
会いたくて堪らなくて来たのに。
今は一緒にいるのがこんなにも苦しい。
受け入れられると思っていた現実は
思っていたよりも酷なもので。
自分で言った言葉が、
一番自分自身を傷つけた。
「…そ、だね。友達だもんね。」
ねぇ、なんで。
何で相葉さんがそんな顔をするの。